アカデミー賞で『ボヘミアン・ラプソディ』嫌われる理由

日本時間2月25日に行われる「2019 アカデミー賞」の授賞式。世界中で大ヒットし、日本でも大ヒット中のクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』だが、現地の状況はかんばしくないようで……。アカデミー賞で『ボヘミアン・ラプソディ』が嫌われる理由を、ハリウッド情報に詳しい、映画ライター・よしひろまさみちさんと、LA在住の映画ライター・猿渡由紀さんが語ってくれた。

 

よしひろ「『ボヘミアン・ラプソディ』は、日本では昨年の興行トップだった『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』を抜き去り、現在も114億円を突破して記録更新中です(2月15日現在)。アメリカでの成績はどうでした?」

 

猿渡「こちらでもヒットしていますよ。製作費が5,000万ドルレベルなのに、北米だけで2億ドルも稼いだから大・大成功です。この映画は、北米以外のほうがヒットしていますよね。総興収8億ドルのうち北米は2億。音楽映画としては『アリー/スター誕生』のほうが北米では評価は高いです」

 

よしひろ「そもそも製作段階で『ボヘミアン・ラプソディ』は暗礁に乗り上げる一歩手前だったとか。いろいろ受難続きだっただけに、これだけヒットすれば十分って感じ?」

 

猿渡「ほんとに奇跡と言っていい話だと思います。しかもアカデミー賞主要部門まで候補入りですから」

 

よしひろ「でも、アメリカやイギリスでの批評家筋の評価はよくないですよね」

 

猿渡「そうです。まさに私も思っていることなんですけど、いいところしか描きたがらずツッコミが弱いことや、事実と若干違っていて、これまた自分たちのいいような話にしたがっているところに批判がありますね。『ラミ・マレックの演技以外は見るところがない』とまで言っている人もいます」

 

よしひろ「完全同意! 前哨戦の全米製作者組合賞に候補入り、全米俳優組合賞はラミが受賞しましたが、これはどうしてでしょう」

 

猿渡「全米製作者組合賞の候補入りは、納得なんです。なぜなら、あんなトラブル続きの映画を完成~ヒットさせたのは、間違いなくプロデューサーの力ですから」

 

よしひろ「ホント、崩壊寸前の現場&クイーンの2人をよく束ねたと思いますよ。しかも、出るわ出るわのブライアン・シンガー監督のゴシップ(少年への性的虐待疑惑など)」

 

猿渡「ゴシップ記事のせいで受賞の可能性が減るのか!! とショックを受けている日本のファンは多いようですが、監督の問題行動は『#MeToo』運動の前からありましたし、監督降板もそれが影響していたから、今さら誰も驚いてないんですよ」

 

よしひろ「あの記事で左右されるようなもんじゃないですよね」

 

猿渡「逆に、あの記事が何かの影響を及ぼすとするなら、主演男優賞でラミへの同情票が集まること。現に全米俳優組合賞がそうでしたが、俳優組合に所属する俳優たちならなおさら、ひどい監督に耐えてあそこまでやったことを評価すると思いますよ」

 

よしひろ「しかも、あの受賞後、ラミがついにシンガーと合わなかったことをポロリとこぼしましたしね」

 

猿渡「ラミは業界内の受けもいいし、今回は(主演男優賞を)ラミにとらせてあげていいと思う空気があると思います」

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