今年はソン・イルグク(36)主演の『朱蒙』が平均視聴率40%を超えるなど、いまだにドラマ人気が根強い韓国。「韓国人は、基本的に話の展開が速く、単純明快かつ、喜怒哀楽の人間模様に溢れたストーリーを好みます。日本人の感覚だと、少しオーバーに感じるような感情表現なども、今の韓流ドラマには欠かせない要素のひとつですね」と韓国の民放局プロデューサー。日本では『サスペンス2時間ドラマでは最後がなぜか崖の場面』などの“欠かせない”定番があるように、今週の『韓ナビ!』は近年、ヒットした韓流ドラマに頻出した“お約束”演出シーンを大公開! 制作側スタッフたちの証言を集めてみました。①精神的に追い詰められた男性主人公は、運転中、必ず派手な“Uターン”を決めるこのシーンは、平均視聴率37.4%を記録した、ヒョンビン(25)の『私の名前はキム・サムスン』や、アン・ジェウク(36)主演の『ミスターグッバイ』をはじめ、数多くの人気ドラマに登場。ドラマのなかで、ヒョンビンは「恋人を取り戻す」ために、そしてジェウクは、「愛する人を思い出して」、大通りで大胆な“Uターン”を披露! ドラマでなければ、大事故間違いなしの危険運転だが、「こうしたシーンは、主人公の動揺ぶりを、映像で明快に見せるための技法として多用されていますね」(前出のプロデューサー)②怒った女性主人公は、なぜか“ビビンバ”を勢いよくかき混ぜて、豪快に食べるこちらは同じく『私の名前はキム・サムスン』に登場。災難続きのサムスン(キム・ソナ・32)が「人生なんとかなるさ!」と豪快にビビンバをかき込むシーンは有名だ。「これは、韓国女性のストレス解消法のひとつなんです。唐辛子のカプサイシン効果が気分を爽快にさせるようで、ビビンバの代わりに、大根キムチに丸ごとかぶりつく、といったシーンもよく見られます」(韓流ドラマ関係者)③韓流ドラマには、嬉しいときも悲しいときもカップルが“インスタントラーメン”を食べるシーンが登場する韓流ドラマファンなら、チェ・ジウ(32)とクォン・サンウ(31)の『天国の階段』でラーメンを一緒にすするシーンがまず頭に思い浮かぶはず。最近でもキム・ジェウォン(26)とキム・ハヌル(29)の共演で日本でも人気となった『ロマンス』でファーストキスを目前に緊張する2人が、仲よく即席めんを完食。「韓国は世界有数のインスタントラーメン消費国。一般的な韓国人の生活を描くのにパスタでは違和感がありますし、喜怒哀楽を率直に表現する際は、ズルズルと音を立てて食べるラーメンが最適なんですよ」(韓国のスポーツ紙記者)ソ・ジソブ(30)の『ごめん、愛してる』では、ジソブが、死を間近に控える母が作ったラーメンを食べるシーンが登場。視聴者の涙を誘った。④辛いときには、屋台で焼酎を飲み泥酔するお馴染みのこのシーンも、韓国庶民の日常にある光景を巧みに表現しているという。⑤リッチな男性主人公は『大財閥の御曹司』か『大スター』という設定が定番。女性は『ご令嬢』が定番である。『バリでの出来事』では、チョ・インソン(26)が、また『火の鳥』では、“神話”のエリック(28)が、御曹司役として登場。『星に願いを』では、アン・ジェウクが人気歌手の役を演じたが、そうした“大金持ち”の男性主人公は、⑥彼女を高級ブティックに連れていくのが大好きだそうで、『星に願いを』でも、ジェウクが貧しい家庭で育った彼女を、無理やりブティックに連れていき、自分の気のすむまで試着を繰り返させるシーンが登場している。⑦悲しみに暮れる男性主人公は、必ずシャワーを頭から浴び、同時に、鍛え抜かれた肉体を惜しみなく披露するこの表現手法が一般的になったのは『天国の階段』から。クォン・サンウのシャワーシーンが公開された直後には、“モムチャン(ナイスバディ)”という流行語が生まれ、以後、「男性俳優の多くがシャワーシーンに挑むようになった」といわれている。「人気俳優の“露出”シーンは、視聴者の興味を惹きつけるために、ドラマ前半に設定することが多いですね(笑)」(前出・プロデューサー)⑧恋人同士の抱擁シーンでは、2人の周囲をカメラがグルグル回りながら撮影するイ・ビョンホン(37)主演の名作『オールイン』では、「二度と君を一人にしない!」と誓ったビョンホンが、ソン・ヘギョ(25)と唇を重ねた、まさにそのとき! カメラがグルグルと回りだして……。「いや、特に意味はないのですが、カメラを回さないと、韓国人の多くは物足りなさを感じるようなんですよ」と制作関係者。最近では、⑨同性愛など“タブー”を描いたドラマはヒットするといわれており、タブーな愛の“名手”として、若手俳優のコン・ユ(28)が抜擢され脚光を浴びるようになった。「彼は、『乾パン先生とこんぺいとう』で、教師と男子高校生の恋愛を、また『ある素敵な日』では、異母妹との“近親愛”にチャレンジしました。そして、今年放映の『コーヒープリンス1号店』では、人間味溢れる演技で、“同性愛”をテーマとした役を見事に演じきり、27.1%という最高視聴率獲得に、大きく貢献しました」(韓国紙記者)そして、長~い韓流ドラマを印象づけるためには、愛着の持てるタイトル決めも重要。⑩タイトルに主人公の名前を入れると大ヒットする「ご存じイ・ヨンエの『チャングム』や『キム・サムスン』、そして今年の『朱蒙』。『太王四神記』も“広開土大王”が主役ですから、この定説に倣っているといえます」と制作関係者。役者はもちろん制作側の工夫をこらした数々の演出も、韓流ドラマの感動を呼んでいるようだ。