■会見で五輪についての言及を避けられ…
天皇陛下にとって両大会の名誉総裁は特別なお役目なのだという。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんは「天皇は国内の団体等の名誉総裁職に就くことはありません。それだけにオリンピック・パラリンピック大会の名誉総裁就任は特別です」と語る。
陛下ご自身も以前から東京五輪への思い入れは強かった。’18年にはパラリンピアンの道下美里選手の伴走者を務め、赤坂御用地をランニングされたこともあった。障害者スポーツについては、雅子さまや愛子さまとご一緒に観戦されるなど、関心を寄せられてきた。
また、東京五輪の開催が決まってから、陛下は誕生日会見で毎年のように東京五輪について言及されてきた。
昨年2月の会見では「私にとって、東京オリンピックは初めての世界との出会い」と、’64年の東京大会を競技場で観戦された思い出を感慨深く振り返られた。そして「この世界的なスポーツの祭典が、関係する方々の尽力により、つつがなく成功裡に終えられることを願っています」と、期待をこめておられた。
だが、この会見からほどなくして日本でも新型コロナの感染が急拡大。東京五輪は1年の延期となった。そして今年の会見で、陛下は東京五輪についていっさい言及されなかったのだ。
前出の宮内庁関係者は、陛下の心情をおもんぱかる。
「国民の中でも五輪開催に反対の声が増えつつあったなか、これまで五輪を応援されてきた陛下による、いわば“無言の抗議”だったのではないでしょうか」
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