五輪のために強行 上皇ご夫妻も危険にさらす羽田新ルート
画像を見る 宮内庁が国交省とのやり取りを記録した文書。文書開示請求によって本誌が入手

 

■懸念される落下物と最悪の事態

 

さらに落下物の危険もある。

 

「着陸のために車輪を出す振動で、部品や氷塊などの落下物の危険性が高まります。羽田空港に着陸する場合、新宿から品川上空で車輪を出すことになりますが、高輪皇族邸はその範囲内です。都心部に航空機からの落下物の報告はまだないようですが、国交省に航空会社から小さな部品が欠落していたという報告は入っている。都心部のどこかに落下している可能性もあります」(杉江氏)

 

落下物だけではなく、最悪の事態も想定せねばならない。

 

「7月2日、ハワイ・ホノルル空港を飛び立った直後のボーイング737型の貨物機がホノルル沖の海上に緊急着水しました。エンジントラブルが発生し、空港に戻ろうとしたが戻れずに着水。貨物機だったことから、日本のメディアはあまり報道しませんでしたが、こういう事故はいつ起きても不思議ではありません。都心部上空を低空飛行する航空機に何かしらのトラブルが発生したら、大惨事につながる危険性があるということです」(杉江氏)

 

■五輪のために強行された新ルート

 

もともと、羽田新ルートは、安倍晋三前首相の肝いりの政策「観光立国」のために、羽田空港の国際便の発着数を増やす目的で構想された。

 

2018年は住民との「双方向の対話」の時期と位置づけられていたが、今回入手した文書からは〈東京オリンピック開催に間に合わせることを念頭に〉や〈無線誘導の必要上(中略)経路を左右にずらす余地はない〉という結論ありきの本音も見える。

 

ここまで強引に進められたのは、安倍首相が“東京五輪が行われる2020年に外国人観光客4,000万人”という目標を掲げたためだ。しかし、コロナ禍によって外国人観光客は大きく減り、新ルートは無用のものに。コロナが収まった後も、観光客が以前の水準まで回復するかは未知数だ。

 

「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の事務局長で立憲民主党の松原仁衆議院議員はこう語る。

 

「新ルート計画は、五輪のために住民の声をまったく無視して、熟議も重ねないまま強引に進められてきました。これは、安倍元首相から菅首相と長期政権になり、強者の発想で、つねに上から目線の強権的な政治の象徴でもあります。内閣官房に人事権を握られている省庁は妄信的に政府の指示に従うだけ。これだけ危険性がともなう計画ですから、本来なら省庁間ですりあわせを行い、地域の不安を払拭したり、丁寧に住民の声に耳を傾けたりするべき。しかし、今は役人が見ているのは、政府の顔色ばかりです」

 

東京五輪のため、上皇ご夫妻を含む、ルート下で生活するすべての人々の生活を無視して行われた羽田新ルート。今こそ、見直しの時期がきている。

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