■愛子さまも会見で「思いを寄せ続ける」とーー
現地の人々も両陛下の岩手県ご訪問を歓迎しており、大槌町にある「三陸花ホテルはまぎく」社長の千代川茂さんもその1人だ。
震災前の’97年には、上皇ご夫妻が、このホテルの前身の「浪板観光ホテル」にお泊まりになったことがあった。しかし、ホテルは’11年の大津波により壊滅的な被害を受け、先代社長だった千代川さんの兄も行方不明に……。
震災から約半年後、美智子さまの77歳のお誕生日に公開された写真には、花壇に咲いたコハマギクをご覧になっている上皇ご夫妻のお姿があったのだ。
「かつて兄が献上したコハマギクを、上皇ご夫妻が大切に育ててくださったのです。私は大変感激し、ホテルの再建を決意しました。
今年、天皇陛下と雅子さまがご来県されることを大変ありがたく思っています。陸前高田市から大槌町は遠く、こちらにはお見えにならないと伺っています。ただご縁がありましたら、いつかコハマギクが咲く秋に、天皇陛下と雅子さまにも、この町に来ていただき、震災で海に沈み10年かけて再生した海岸から、コハマギクをご覧になっていただけたら、それに勝る幸せはありません……」(千代川さん)
美智子さまが御所で育てていらしたコハマギクについて、宮内庁関係者はこう話す。
「美智子さまは’22年4月に赤坂・仙洞御所へ入居されましたが、コハマギクなどの植物も移植され、今もお育てになっています。天皇ご一家がお住まいの皇居・御所にもコハマギクを残されており、雅子さまや愛子さまも大事にされているのです」
被災者たちの願いが込められたコハマギクは、美智子さまから、雅子さま、そして愛子さまにも託されていた。
「天皇陛下と雅子さま、そして愛子さまは毎年、3月11日に黙禱を捧げてこられました。
また両陛下は愛子さまに、“東日本大震災のことを忘れてはいけない”と、お伝えになっています」(前出・皇室担当記者)
昨年3月、愛子さまは成年皇族になられた際の記者会見で、こう話されている。
「先週で東日本大震災から11年の時が経過いたしました。(中略)被災された方々の心の傷が癒えるのは容易なことではないと思いますし、また、時間を要するものであると想像されます。そういった苦難の道を歩まれている方々に思いを寄せ続けるということも、大切にしていくことができればと思っております」
被災者に心から寄り添うという両陛下のご姿勢をしっかりと受け継がれていた。
「両陛下が陸前高田市を訪問された後には奇跡の一本松や、木に込められた人々の復興への祈りについて、ご一家でお話しされることでしょう」(前出・宮内庁関係者)
愛子さまが“奇跡の一本松”を、そして大槌町でコハマギクをご覧になる日も、けっして遠くはない。