■尊敬する“父の後輩”がブレーンに着任
昭和、平成、令和にわたって続く“反省と和解”への道のり。前出の小田部さんは、期待感を込めてこう語る。
「戦争の放棄を掲げる憲法の下、その象徴としての天皇陛下と雅子さまには、国際社会のなかで大きな役割があるように思います。不安定な国際情勢のなかで、日英が協力し、世界が再び不幸な歴史を繰り返さないための努力がなされるようなメッセージが、天皇陛下のスピーチに込められることを願っています」
そして訪英に向けて、心強い“ブレーン”が陛下と雅子さまのお傍に現れていた。5月8日付で、宮内庁御用掛に長嶺安政元最高裁判事が着任したのだ。霞が関の事情に詳しい「インサイドライン」編集長の歳川隆雄さんは、この人事の背景を明かす。
「宮内庁御用掛は、天皇皇后両陛下からご相談を受け、助言を行う立場にあります。慣例では宮内庁長官・侍従長の経験者、法曹界、外交官、言論界の4つから選ばれることになっています。
長嶺氏は外務省で駐英大使など各国大使を歴任したほか、国際法局長を務めており、皇后陛下の父・小和田恆氏の“直系の後輩”にあたります。省内には“秀才中の秀才”との評価があるほどで、政治家ともバランスよく付き合ってきました。まさに御用掛には適任といえる人材でしょう」
ほかにも、雅子さまが長嶺氏に信頼を寄せられる理由があった。
「雅子さまから見て長嶺さんは、外務省職員としても10期ほど上の先輩にあたります。さらには、2013年に駐オランダ大使として、ウィレム=アレクサンダー国王の即位式に出席された両陛下をアテンドしています。
当時、雅子さまはご体調がとくに優れず、行事への出席もままならないことがありました。こうした苦しいときに支えてくれた一人として、両陛下は長嶺さんに信頼を寄せていらっしゃるようにお見受けしています。
長嶺さんの豊かな知見も頼りにされながら、いまも両陛下は晩餐会でのスピーチ原稿を、丹念に推敲されていることでしょう」(前出・宮内庁関係者)
戦後の日英両国に横たわってきた、負の歴史を乗り越えていくという試練。天皇陛下と雅子さまは、バッキンガム宮殿での晩餐会でのスピーチで、平和と友愛の尊さを訴えられるだろう。