「私は、来る総裁選には出馬いたしません」
8月14日、岸田文雄首相(67)は次期自民党総裁選への不出馬を表明した。早くも永田町では“ポスト岸田”を巡る、有力政治家たちの戦いの火ぶたが切られることとなったのだ。
政権与党である自民党の次の総裁は新たな首相でもある。誰が就任するかで、皇室の未来も左右される。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんはこう話す。
「皇族数の確保策といった問題に限定したものの、今年に入って皇室の諸問題の議論をけん引してきた岸田首相が身を引くとなると、ようやく動き始めた時計の針が止まってしまいかねません。次の首相が誰になるかで、この問題の進展は大きく左右されることになるのです。
たとえば女系天皇の容認について踏み込んだ発言をした石破茂氏。そして、女性天皇や女系天皇の実現に向けた皇室典範改正を直前まで進めた小泉純一郎元首相を父に持つ、小泉進次郎氏などが首相になれば、長年の宿題解決に向けて前に進む可能性があります」
いまや世論調査で9割の支持という結果もある「女性天皇」が誕生するという未来。愛子さまが即位されることを可能にする皇室典範改正は、誰が首相になれば実現する見込みがあるのだろうか。
本誌が、岸田首相の不出馬表明直後に次期総裁選に意欲を示すと報じられた有力政治家たちの、皇位継承のあり方についての発言や立ち位置を緊急調査し、チャート化した。
石破茂・元自民党幹事長が、“将来的な女性・女系天皇容認”についてたびたび発言してきたいっぽう、石破氏と同じくメディア各社の調査で“次の首相にふさわしい人”の上位となってきた小泉進次郎元環境相は、皇室についての発信がほとんど見られない。全国紙政治部記者はこう話す。
「進次郎氏は、規制緩和など政策理念の大枠を父・純一郎元首相の路線を踏襲していますし、皇位継承問題に対する考え方や当時の経緯も当然聞いているでしょう。また2019年に進次郎氏が結婚した滝川クリステルさんは動物愛護などの社会福祉活動に熱心ですが、近年はその奥さまの影響も受けていると聞きます。
さらに政府が掲げている女性活躍を推進する政策への関与も深めているので、女性・女系天皇容認を急に打ち出す可能性もあるように感じています」
だが、こうした見方に懐疑的な自民党関係者もいる。
「たとえ進次郎さんが女性・女系天皇容認を打ち出したとしても、すぐさま軌道修正を余儀なくされる可能性は高いと思います。
総裁選出馬には20人の推薦人を確保する必要があります。最近は、“コバホーク”の愛称で若手議員の支持を集める小林鷹之・前経済安保相の勢いに押されていて、進次郎さんは推薦人集めに苦戦しているというのです。
後見人として進次郎さんを引き立ててきた菅義偉前総理が束ねている無派閥グループ、旧安倍派の一部議員と旧二階派といった議員らの力を借りなければ、総裁選への出馬すら危ういと思います」