「皇室に一般国民が加わることに」自民党が進める“女性皇族の夫と子供は一般人”案の「危険性」
画像を見る 今年はブラジルへの公式訪問など、佳子さまのご活動の幅は国内外に広がっている /(C)JMPA

 

■“家族内の身分差”は国民にも違和感を…

 

とくに鮮明になったのは、与党・自民党と野党第一党・立憲民主党の意見対立。男系男子による皇位継承を重要視する自民側は、夫と子を皇族とすれば“母方のみが天皇の血を引く女系天皇の容認につながりかねない”と主張している。連立を組む公明や、皇統の男系継承を支持する維新や国民民主も同様の見解だ。

 

一方の立憲は、皇位継承資格を認める議論とは別にして、“皇族としての身分を付与する案も含めるべき”と主張しているのだ。

 

自民などが提唱する案で女性皇族の“結婚の制度”が確立されてしまえば、ゆくゆくは愛子さまや佳子さまが結婚後に築かれる家庭にも大きな影響を及ぼすと、皇室担当記者は語る。

 

「自民などが主張する“配偶者を皇族にしない”という案で皇室典範が改正されれば、皇室に一般国民が加わることを意味します。そもそも国民には戸籍があり、姓を持ちます。しかし皇室の方々の家族関係は皇統譜という帳簿に記され、姓はありません。国民には憲法で保障される基本的人権や自由がありますが、皇室の方々は一定の制限を受けます。

 

女性皇族と結婚した夫やその子供は選挙権や職業選択の自由、居住地の自由といった権利を持つ一方、女性皇族は持っていません。また皇族はご公務などさまざまなおつとめがあるのに、夫や子供もそうしたおつとめをするのか、という違いが生じてくるわけです。

 

明確にご家族内で権利や義務が異なる状況で、果たして幸福な家庭を築けるのか……。女性皇族とそのご家族が生活されるうえで、多くの混乱が生じるという指摘は、これまでもなされてきました」

 

2月17日の協議では、内閣法制局などが法的な解釈を絡めながら説明する場面もあった。

 

女性皇族が結婚した夫が皇族の身分を有しないという点については、憲法上問題はないという解釈があらためて示された。さらに、夫とその間に生まれた子供が一般国民のままでも、赤坂御用地などでの同居、皇宮警察による警護、さらに地方ご公務に同行する際の交通費の支給などを認めるという見解も明かされたのだ。

 

しかし、神道学者で皇室研究者の高森明勅さんはこう危ぶむ。

 

「女性皇族の夫や子が、一般国民のままであっても、社会通念では家族が一体と見られるのは避けがたく、天皇・皇室の象徴という憲法上の地位と矛盾が生じます。

 

たとえば結婚後、選挙権や被選挙権を持つ夫が政治活動を始めたとしても、それを止める手立てはないのです。また女性皇族が皇室に残る場合、皇族としての品位保持のために皇族費が支出されますが、一般国民である夫や子供には支払われません。17日の討議では、家計を一緒にすることについて法的に問題はないという説明もありましたが、一般国民が皇族費で生活することに納得できない人々もいるでしょう。

 

自民党などが進める案では、女性皇族の夫やその子供が政治や宗教、ビジネス活動などを規制する手立てが設けられない制度となり、皇室が重んじる公平性や中立性に対して、国民が疑問を抱くことにつながりかねないのです」

 

身分差から生じる“亀裂”を懸念することから、愛子さまや佳子さまの“お相手選び”にも、影響を及ぼさないはずはなく……。

 

「今後愛子さまや佳子さまをはじめ、女性皇族の方々がご結婚相手を決めていく過程で、お相手の男性が身分差によって生じる問題を避ける可能性もあり、難航することも十分にあるのです。

 

また結婚したとしても、身分差が家庭に影を落とすこともあるでしょう。現状のような国会での議論の停滞がさらに続けば、女性皇族の方々が結婚するタイミングを決めることができない状態も、さらに長引いてしまうのです。

 

秋篠宮さまは昨年のお誕生日に際しての記者会見で、『皇族は生身の人間』と発言されています。この意図は、“制度の改正によって皇族の人生がどうなるのか”ということを、政治家にも考えてほしいというメッセージのようにも感じました」(宮内庁関係者)

 

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