■心筋虚血でご習慣に大きな変化が……
2020年、87歳のお誕生日に上皇職が公表した文書の中には、「何度か繰り返されるご質問」「勘違いや戸惑い」といった認知症が疑われる症状が上皇さまにみられるとあり、波紋が広がった。しかし美智子さまは、体力維持や認知機能の低下を防ぐために、朝の音読や朝夕の散策をご日課とされ、上皇さまに付き添われてきた。
そうした中で下された心筋虚血の診断。ご生活に変化が生じないか懸念する声もあるという。
「上皇ご夫妻は、仙洞御所内の階段の昇降や御所内の歩行、そして赤坂御用地内の散策といった運動を、その日の気候を見て、このうち2つ、日によってはこのすべてを行われていました。
特に広大で自然も豊かな赤坂御用地内のご散策は、脳の機能維持という点で医師からも勧められた習慣として、お楽しみになりながら、毎日しっかりとお二人で続けられてきたのです。
しかし心筋虚血は心臓に負担をかけないように、過度な運動を制限される疾患とされ、上皇さまの体力や認知機能にもさらなる“衰え”が生じてしまうのではないか……と心配する声も上がっていたのです」(皇室担当記者)
だが美智子さまは、上皇さまの“介護計画”に生じた新たなハードルも乗り越えていくため、新たな形へと進化させていた。前出の宮内庁関係者は、
「上皇さまは退院された翌日から、運動の回数を見直し、お住まいの中で30分ほど、階段昇降やウォーキング、足の上げ下げを始められたと聞いています。また19日には、皇居内にある生物学研究所へ足を運ばれ、ライフワークとして長年続けられているハゼの研究を再開されました」
上皇さまが健康を維持されるために大切なポイントを、前出の齋藤院長は次のように指摘する。
「症状もなくご高齢ですので、手術に対しては慎重に判断されるでしょう。治療法は、血流を改善する薬の服用を基本とされていくのだと思います。
過度な運動は控えつつ、安全性を確保しての屋内歩行やストレッチは引き続き重要です。今後も医師の判断のもと、適切な運動を続けられるのではないでしょうか。
また食事面では、血流が滞らないようにコレステロール値を下げる必要があるので、肉やバターなどを控え、魚中心の和食が好ましいとされています」
新たに始まった奮闘の日々。美智子さまのご体調も、決して万全ではない。2023年には心不全の診断指標であるBNP値が、正常よりも高い水準が続いていることが公表されたほか、昨年10月には御所内で転倒、右大腿骨上部を骨折し、手術を受けられたのだ。
満身創痍でも、美智子さまのご覚悟が揺らぐことはなく……。
「13年前、バイパス手術を受けられた直後の上皇さまと出席された東日本大震災の追悼式に、美智子さまは和装で臨まれたことがありました。ご入院中に足腰の筋力が衰えた上皇さまに万が一のことがあったとき、お傍で自分が支えられるよう、踏ん張れる草履を履くために和装を選ばれたと……。
昨年の手術後もすぐにリハビリを始め、杖を使いながらとはいえ、美智子さまはわずか1カ月ほどで歩かれていたのです。ご年齢を考えれば、驚異的なことです。ひとえに、“上皇さまを支えるのは私しかいない”という、強いご信念とご覚悟が、こうした美智子さまの行動の原動力となっているのは間違いありません。
上皇さまが入院されたことで、ご夫妻は5月上旬の葉山御用邸での静養を取りやめられています。ご体調が安定したころに、ごゆっくりと再訪していただきたいものです」(前出・宮内庁関係者)
美智子さまは、上皇さまと穏やかで晴れやかな日々の軌跡を、これからも紡がれていく。
画像ページ >【写真あり】東大病院を退院された上皇さまに付き添われる美智子さま(他4枚)
