国民生活を圧迫し続ける物価高。政府による令和8年度予算編成も大詰めを迎える12月17日、西村泰彦宮内庁長官が高市早苗首相に対して、かねて検討されていた天皇家の私的費用にあたる「内廷費」の増額を見送る意向を示した。
「9月ごろ、物価や公務員給与の上昇幅が、宮内庁が設けている基準を上回ったとして、天皇家の日常生活に充てられる内廷費を12月中旬までに引き上げるかどうか検討する方針が示されていました。現在の内廷費は年間約3億2400万円、引き上げが実現すれば`96年以来のことでした。
内廷費は天皇皇后両陛下と愛子さまの天皇家、上皇ご夫妻の生活費にあたりますが、宮中祭祀を担う職員の給与など人件費もここから支出されていて、自由に使えるお金というわけではありません。内廷費を上げないのであれば、皇族方に支出されている皇族費も増やすわけにもいきませんので、こちらも現行の額が据え置かれる形となります」(皇室担当記者)
日銀が利上げに踏み切り、30年ぶりに政策金利が0.75%となったことや、ガソリン税の暫定税率廃止といった物価高対策が行われている昨今。だが国民の暮らしぶりが劇的に改善されたわけではない。増額を見送られた背景には、やはり天皇陛下や雅子さまの強い思し召しがあったと、天皇家に近い宮内庁関係者は明かす。
「今年は信子さまと彬子さまがそれぞれ当主となったことで、皇族費の支出が増えたことが批判を集めました。さらに仮に、令和8年度予算から皇族費増額に踏み切ると、まだ大学生の悠仁さまの皇族費の金額が1千万円を超えてしまうということもあって、国民の反感をいっそう高めかねないという意見も皇嗣職内部からも上がっていたという事情もあります。
夏ごろから検討してきた内廷費・皇族費の引き上げについては、省庁としての基準があるにせよ、最終的には天皇陛下の意向をうかがう事案として捉えられてきました。皇室は国民のことを第一に考えるご姿勢を受け継がれてきましたし、経済的に苦しい人々がいるなか、皇室の経費が目に見える形で増えることは、検討が始まった当初から“陛下は慎重に判断されるだろう”と宮内庁内で見られていたのです。
もとから愛子さまのティアラなどの宝飾品も新調されることなく、天皇ご一家は“節約できるものは節約を”という姿勢を貫かれてきました。12月に入っても、やはり陛下の引き上げに慎重なご意向が変わる様子はなかったことも踏まえて、宮内庁は見送る決定を下すに至ったのです」
「国民とともに」というなさりようが揺らぐことはなく、天皇家はこれからも清貧を貫きながら、人々の安寧を願い続ける――。
画像ページ >【写真あり】「これが本当のお洒落」”30年ご愛用のバッグ”をお使いの雅子さま(他3枚)
