■「明治百年」ではおことばがあった
高森さんによれば、このほかにも強い違和感を抱く場面があったという。
「天皇皇后両陛下のご入場の際、式典副委員長の木原稔官房長官が先導していたことです。1968年に明治百年記念式典が開かれており、このときは式典委員長だった佐藤栄作首相が先導しています。このような式典では前例が踏襲されるものですが、式典副委員長という“格下”に変更されていたのです。
また明治百年記念式典では、昭和天皇によるおことばがありましたが、今回は陛下がおことばを述べられませんでした。式典後に黒田武一郎宮内庁長官の『政府の考え方に基づいた』というコメントが公表されていますが、宮内庁としても不本意だったのではないかと思いました。
つまり政府は、両陛下のお出ましをいただきながら、前例から変えてまで先導役を格下げし、おことばを省略するという、考えられないほど失礼で皇室を軽視したふるまいをしていたのです」
そして宮内庁は昭和100年記念式典の翌日に、
「両陛下は歴史から謙虚に学び、終戦以来人々のたゆみない努力により築き上げられた平和を守るために必要なことを考え、将来へとつなげる努力を続けることが大切との思いで式典に臨まれていた」
という両陛下のお考えを公表したのだ。式典後の公表という異例の形式となったわけだが、前出の宮内庁関係者はこう明かす。
「そして両陛下は激動と復興の昭和時代を振り返り、『戦中戦後に人々が味わった悲惨な体験や苦労を後の世代に伝えていくこと』の大切さをあらためて感じたとも、宮内庁は明らかにしています。陛下は歴史の研究者でもあり、この機会にご自身が考えていらっしゃる昭和時代の“総括”を、国民に伝えなければならないと、雅子さまとも話し合われていたとお見受けしています。
戦後80年の節目となった昨年、両陛下は愛子さまを伴われて各地で祈りを捧げられています。こうしたご姿勢は一貫しており、昭和100年記念式典後に、平和を希求する皇室の姿勢を打ち出されたといえます」
