7月末の熊本地震で、甚大な被害を受けた八代市、氷川町、宇城市を、9月30日に訪問された天皇陛下と雅子さま。日帰りという日程であったものの、時間の許す限り被災者を励まし、復旧に尽力した人々を労われていた。
氷川町を訪れた際には、町立竜北西部小学校近くに建てられた仮設住宅で暮らす住民ら20人を見舞われた。対面したうちの一人である永田貴士さん(54)はこう振り返る。
「はじめに天皇陛下から『その後はいかがですか』とお声がけいただきました。地震があった日にどこにいたのかなど、お気遣いいただくおことばをいただきました。これまでいろいろと後向きになることがたくさんありましたが、両陛下とのお話を経て、前向きな気持ちを抱けるようになったと思います」
永田さん一家4人は、7月末の大きな地震で自宅が全壊する被害を受け、現在も仮設住宅での生活を余儀なくされている。貴士さんの12歳の長男・煌虎(こうた)さんも、過酷な状況に直面していた。
煌虎さんは、地元の硬式野球チーム「熊本宇城ボーイズ」で外野手兼投手としてプレーする野球少年。しかし野球道具一式を、自宅の倒壊で失ってしまう。後にがれきのなかからグラブが見つかり、チームメイトや周囲の支援もあって、いまでは野球の練習に参加できるようになった。
「制服や通学用のカバンも下敷きになっちゃって……。しばらくは友達と違って私服で登校することがつらかった。またグラウンドに立てるようになって、やっぱり野球って楽しい、最高!って思います」
煌虎さんは両陛下のお人柄について次のように感じたという。
「やっぱり偉大だなって感じたし、優しかったです。命が助かってよかったですね、と言っていただきました。地震が起きた時はひいおばあちゃんの家にいたと伝えると、“家族がご無事でよかった”とも声をかけていただけて……。応援していただいて、さらに野球が好きになりました」
日ごろ練習に打ち込む煌虎さんの将来の夢は、プロ野球選手になり、やがてはメジャーリーガーになること。本誌記者が憧れの選手について尋ねると……。
「(シンシナティ・レッズ所属の)エリー・デラクルーズ選手が好きです。ショートで両打ちっていうのがかっこいい。左バッターはサードの方に打った後、走りやすいんです」
自宅の倒壊という悲しみを乗り越え、白球を追い続ける煌虎さん。両陛下の優しさは、彼を力強く夢へと歩むエールとなったことだろう。
画像ページ >【写真あり】永田さん一家にお声がけされる天皇皇后両陛下(他5枚)
