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インフルエンザが全国で大流行中だ。そんな中、全校児童335人の横浜市立中尾小学校では、インフルエンザで欠席している児童はわずか1人(2月9日現在)。しかも、3日前まではゼロだったという。

 

「わたしの誇りは、この学校で5年間もインフルエンザで学級閉鎖になったクラスがないことです。インフルエンザになる児童は確かにいます。でも拡大しないのです。ほかの小学校では次々と学級閉鎖になっていきますが、中尾小では広がっていかない。その理由は、全校児童が一斉に行っている“昼の歯磨き”しか考えられません」

 

そう語るのは、高橋宏明校長。同校では、10年以上前から児童に対して、歯磨きの指導に力を入れている。

 

「今年度の全校児童の97%に虫歯が1本もありません(治したこともない児童は93%!)。全国平均では、児童の50〜60%に虫歯があるといわれています。また、6年生の永久歯の虫歯本数は0.11で、横浜市の平均0.41の約4分の1。全国平均の約5分の1です」(高橋校長)

 

そんな中尾小学校は、これまで「全日本学校歯科保健優良校奨励賞」を5年連続で受けている。’14年には“歯の健康日本一”を意味する「文部科学大臣賞」も受賞した。

 

それにしても歯磨きが、本当にインフルエンザ予防になるのだろうか?中尾小学校の学校歯科医をしている、江口康久万先生(江口歯科医院理事長)に聞いてみた。

 

「インフルエンザと歯磨きとは密接な関係があります。まずは歯垢除去。細菌の塊である歯垢の中には、タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素があり、それが鼻腔や喉など気道の粘膜を傷つけます。その結果、インフルエンザウイルスに感染しやすくなるのです。しかし、中尾小では歯科衛生士が行う歯磨き検査でも、9割近くの児童が『大変よく磨けている』と評価されています。歯垢もよく取れているため、気道の粘膜がしっかり保たれ、感染予防につながっていると考えられます。また、歯磨きと同時に手を洗ったり、うがいをしたりします。口腔内の湿度が保たれることも感染予防に一役買っているのでしょう」

 

1年間に14回も中尾小学校に出向き、直接、児童に歯磨き指導をしている江口先生が、さらに続ける。

 

「口呼吸をしている児童が少なく、鼻呼吸が多いことも中尾小の特徴です。手洗い場が狭いため、子どもたちは教室の席で歯を磨きます。その際に、よだれが垂れてしまっては友達の前で恥ずかしい思いをしてしまいます。だから低学年の児童も、口をしっかり閉じて磨いているのです。それで結果的に口のまわりの『口輪筋』が鍛えられるのでしょう。口がポカンと開くことがなく、ふだんからしっかり閉じることができます。口呼吸では、喉の粘膜に直接ウイルスが届いてしまいますが、鼻呼吸をすることで、インフルエンザや風邪の感染予防になっているのです」

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