気象庁によると、’90年に茨城県つくば市で観測を開始して以降、地表に到達する紫外線量は年々増加しており、10年あたりの増加率は4.1%にものぼるという。今年も私たちの肌は、過去最高量の紫外線にさらされることになる。
「コロナ禍になってから、肝斑が濃くなった、という方が増えています。マスク着用による摩擦と、紫外線のダメージをダブルに受けてしまった結果によるものだと思います」
そう指摘するのは、KUMIKO CLINIC院長で美容皮膚科医の下島久美子先生。
肝斑とは、女性ホルモンの影響から生じるシミの一種で、ホルモンの影響を受けやすい30~40代によく見られるもの。一般的なシミはポツポツと不規則に点在するのに対し、肝斑は目のまわりや頬骨に左右対称に広がるのが特徴だという。
「肝斑は摩擦と紫外線によって悪化するため、マスクがふれる頬骨のあたりが濃くなりやすい。また、マスクを長時間着けていることでメークが落ちてしまうので、そこに紫外線を浴びると悪化しやすいのです」
■在宅中でもメークで肌を保護すること
どうすれば肝斑やシミを防ぐことができるのだろうか。
「どちらも対策は同じで、まずは日焼け止めをしっかり塗ることが基本です。リモートワークで自宅にいる場合、一日中ノーメークという人もいると思いますが、室内にも紫外線は降り注いでいます。室内にいるときでも、日焼け対策は怠らずに」
外出する際も、「マスクを着けているから」と、ノーメークで出かけることが習慣になってしまった人も少なくない。
「一般的な不織布マスクでは紫外線を防ぐことはできません。天気のよい日に外出する際は、紫外線防止効果がもっとも高いSPF50・PA+++以上の日焼け止めを塗り、その上からリキッドファンデーション、さらにUVカット効果のあるパウダーでおさえるなどして二重、三重に紫外線対策をしましょう」
せっかく塗った日焼け止めやファンデも、マスクを長時間着けていると取れてしまう。
「そんなときも、日傘や帽子、羽織り物などを携帯していれば、ある程度は紫外線を防げます。余裕があれば、マスクを外してパウダーをつけ直すとより安心です」
日々の肌のお手入れでは、“保湿”がポイントになるという。
「乾燥肌の人は、潤い不足が原因で角質層に隙間ができ、紫外線を浴びたとき影響を受けやすくなります。保湿の基本は、化粧水で補給した水分を、クリームなどで閉じ込めること。ただ、暑くなってベタつきが気になる場合は、クリームの代わりにさっぱりしたジェルで潤いを閉じ込めましょう」