■手荒れ、人工甘味料もアレルギー発症の要因に
このように花粉症が原因で果物アレルギーになるケースは多いのだが、それ以外の原因で発症することもある。
「たとえば、調理師の方などは、同じ食材を毎日頻繁に触ったり、食材を焼いたりゆでたりした蒸気を体内に吸引します。そうすると皮膚や粘膜を介して食物アレルギーになることがあるのです。とくに手荒れをしている場合、荒れた手の皮膚から食物アレルゲンを吸収し、その食物のアレルギーを発症する可能性が高くなります」
毎日、朝、昼、晩と食事を作っている主婦も注意が必要だ。
今後、果物アレルギーにならないための対策はあるのだろうか。
「実際のところ、花粉症にならないようにするのは、現代人にとって難しいと思います。ただ、重症化を防ぐという意味では、花粉症になっても健康でいることが大切。体が弱っている人は、アレルギー症状が重くなりますから」
福冨医師は病院に来る患者に対して、砂糖を控えるようにアドバイスしている。
「甘いものばかり食べて砂糖を取りすぎている人。そしてビタミンやミネラル、鉄の不足。またタンパク質を十分に摂取できていない人は、カロリーは取れていても栄養失調状態なので、アレルギー症状が悪化しやすくなります。そうならないためには偏った食事、睡眠不足や運動不足などを避けて、生活習慣を乱さないことが大事です」
欧米では、果糖ブドウ糖液糖(果糖の含有率が50%以上90%未満)が入ったフルーツジュースなどをよく飲む人に、アレルギー疾患が多いという報告もある。
さらに、アレルギーは何歳でも発症する可能性があるという。
「高齢者でも発症することがあります。症状も悪化しやすいうえ、心臓に疾患のある人だと、アナフィラキシーになったときに重症化しやすく、とても危険です」
今までは大丈夫だったから……。そう油断せず、果物や野菜を食べた直後に、せきが出たり、喉が詰まる、さらに唇が腫れたりする場合は、医療機関で、食物アレルギーの検査を受けるようにしよう。