乳がん1年目で64.2万円、糖尿病1年間で65,452円…【病気でかかるお金】最新試算
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【女性の5大がん】なるべく早期の発見が治療費を抑えるカギ

 

「がんは早期であればあるほど、内視鏡など体の負担の少ない手術で済むケースが多いため、治療費も少なく抑えられます」と語るのは尾崎章彦さん。

 

女性にもっとも身近な乳がんの標準的な治療は「手術・薬物療法・放射線治療」がワンセット。早期の乳がんを想定し、再発予防のための抗がん剤治療、放射線治療(1回1~2分×週5回×5週間)で算出した1年目にかかる治療費は、3割負担で64.2万円、2割負担で42.8万円、21.4万円。

 

「乳がんには、2年に1回のマンモグラフィ検査が推奨されています。乳腺が多い人は小さな病変を見つけにくいので、超音波検査と組み合わせるケースも。入浴後などに胸のしこりに気付いたり、乳頭から分泌物が出たりして受診し、発見されることもあります。ごく早期であれば1週間ほどで退院も可能です。ただ、術後も5~10年はホルモン療法などを続けるのが一般的。医療費負担が続くものの、発症15年時死亡率を30%も減らすといわれています」(尾崎さん)

 

女性のがん死亡原因の1位である大腸がん。早期の結腸がんを想定し、切除手術と再発予防の抗がん剤治療で算出した1年目にかかる治療費は、3割負担で40.8万円、2割負担で27.2万円、1割負担で13.6万円。

 

「大腸がんは遺伝的素因に加え、現在の欧米化された食生活、肥満、喫煙などがリスク因子といわれています」(尾崎さん)

 

早期発見をするためには、大腸内視鏡カメラがより正確だ。

 

「1回検査をして問題がなければ、次回は5~10年後という頻度で行います。しかし下剤を飲むなど、手間が多い検査です。しかも費用がかかるうえ、内視鏡は医師の技術の差があらわれやすく、かなりつらい検査になる場合もあります。気軽にできる検査ではないので、毎年の便潜血検査を欠かさないようにしましょう」(尾崎さん)

 

早期の症状がほとんどなく、見過ごされてしまいがちなため、女性では大腸がんに続き、死亡率が高いのが肺がん。

 

肺がん全体の8~9割を占めるといわれる非小細胞肺がんを想定し、胸腔鏡手術と再発予防の抗がん剤治療で算出した1年目にかかる治療費は、3割負担で59.7万円、2割負担で39.8万円、1割負担で19.9万円。

 

「痛みや吐き気は薬によってある程度コントロールできますが、呼吸の苦しさを取り除くことは難しい。ほかのがん同様、早期に発見することが大事です」(尾崎さん)

 

そこで思い浮かぶのが、健康診断などでのレントゲン検査だ。

 

「しかし、レントゲンはもともと結核のための検査。早期の小さな肺がんを見つけるのは困難なため、喫煙者向けに低線量のCT検査がスタンダードになりつつあります」(尾崎さん)

 

近年、減少傾向にある胃がんは、早期発見であれば、体の負担が少ない内視鏡による手術で済み、入院日数も短く、費用も安くなる。

 

胃の3分の2以上とリンパ節を切除する定型手術と再発予防の抗がん剤治療で算出した1年目にかかる治療費は、3割負担で70.8万円、2割負担で47.2万円、1割負担で23.6万円。

 

「胃がんの主な原因はピロリ菌になります。かつての井戸水や地下水の飲用が原因といわれており、衛生状況の改善から、現在は感染のリスクが下がりました。ピロリ菌を保菌しているかは呼気検査や血液検査で判明し、仮に保菌していても、薬によって除菌が期待できますので、まずは検査しておくと安心です。

 

また、早期であれば、内視鏡による手術が圧倒的に多い。胃を切除する場合も、おなかに数カ所の穴を開ける腹腔鏡手術が主流なので、早期の社会復帰が望めます」(尾崎さん)

 

子宮の入口に生じる子宮頸がん、子宮本体に生じる子宮体がんに大別できる子宮がん。

 

子宮体がんの全摘手術と再発予防の抗がん剤治療で算出した1年目にかかる治療費は、3割負担で57.6万円、2割負担で38.4万円、1割負担で19.2万円。

 

子宮頸がんの場合は、レーザー治療などを利用することもあり、入院日数は短めになる傾向がある。

 

「子宮体がんも子宮頚がんも、不正出血やおりものが増えてくるなどの症状があるので、早めの受診をおすすめします」(尾崎さん)

 

※高血圧症、糖尿病でかかる治療費は取材をもとに、また、がんでかかる治療費は「がん治療.com」の資料をもとに、本誌が作成。

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