■冬の汗がくさい原因は常在菌と更年期
菌は高温多湿を好むというから、寒くて空気が乾燥する冬場は発生を抑えられるように思うが……。
「ところが、最近は保温・発熱インナーなどで保温状態が続くので、冬でも衣服の中は蒸れやすい状況に。真冬でも菌が好む『高温多湿』の状態ができあがってしまうんです」
汗臭というと腋汗の臭いが気になるところだが、いわゆる「ワキガ」はエクリン汗腺からではなく「アポクリン汗腺から分泌されるもの」と桐村さん。
じつは日本人のおよそ9割が、このアポクリン汗腺は退化しているため、腋の臭いが気になる場合のほとんどは、「エクリン汗腺からの汗の臭い」なのだそう。
また体臭というと「おじさんの加齢臭」を連想し自分には関係ないと思うかもしれないが、「アラフィフ以上の女性にとって人ごとではありません」と桐村さん。
「抗酸化作用を持つ女性ホルモンは更年期にさしかかると減少してきます。これによって加齢臭の原因となるノネナールという物質を抑制できなくなるんです」
とくに50代前後からは、ドッと汗が出るホットフラッシュの症状に悩まされることもあるだろう。
「この『ドッと汗が出る』状態では栄養分の再吸収が追いつかないので、栄養分を多く含んだ臭いやすい汗が皮膚に残ってしまう。つまり50代以上は、その汗臭と加齢臭が混ざった『複合臭』のリスクが高いといえます」
体臭はさまざまで、「100人いれば100通りある」と桐村さん。代表的な臭い成分には、腋の臭いなどお酢っぽい臭いのもととなる酢酸や、足の裏の臭いのもととなる、銀杏の臭いのする酪酸や、納豆の臭いのするイソ吉草酸などがある。
■もしかしてくさい!? ネバ汗予防にナッツ
とはいえ、「自分がくさい」とは、なかなか気づきにくいもの……。そこで、セルフチェックの目安を桐村さんに挙げてもらった。1つでも当てはまる人は要注意。
【「冬のネバ汗」チェックリスト】
□ ふだん、ほとんど汗をかかない人
□ 日常的に運動していない人
□ 湯船につかる習慣がない人
□ 保温・発熱インナーを愛用している人
□ 更年期のホットフラッシュ症状のある人
では、やっかいな汗臭、加齢臭、さらに複合臭には、どう対処すればいいのだろうか。予防と対策を教えてもらった。