【不潔恐怖・洗手強迫】
ドアノブや手すり、つり革など、不潔に感じて触れない(強迫観念)。
汚れや汚染の恐怖を打ち消すために過剰に手を洗う(強迫行為)。
「とくに女性に多い症状です。手洗いを繰り返しすぎて、手荒れ、肌荒れを起こしている方がとても多いです。1時間以上、手を洗い続けるというケースもあります。コロナ禍によって、不安や恐怖がさらに高まり、より過剰になったという方も増えました」
【確認行為】
戸締まり、鍵のかけ忘れ。ガスの元栓の閉め忘れ、電気の消し忘れなどを過剰に確認してしまう。
「玄関の鍵をかけたかどうかの確認を、何度も何度も繰り返す。そして確認しても不安が残る。そのため出かけるまでに時間がかかり、遅刻を繰り返す。患者さんのなかには、閉め忘れ、消し忘れがないか、毎日スマホでドアノブやスイッチ類などの写真を撮って、安心を得ようとする方も」
【加害恐怖】
他人に危害を加えてしまったのではないかという不安が、頭から離れない。
「人混みを歩いているときに、他人と体が触れてしまい、“大丈夫ですか?”と何度も何度も相手に確認を取る。また、自分が危害を与えたのではないかという加害恐怖から、警察に被害届が出ていないか確認を取る方もいます」
これら以外にも、左上の症例リストを参考に当てはまる症状があるかどうか、チェックしてみよう。
一方、玄関の鍵をかけたかどうか不安になることや、外出先で物に触れた後、指先を必ず消毒するといった行動などはよくあることで、単なる心配性や潔癖症のようにも思えるのだが……。
「心配性や潔癖症との違いは、日常生活に支障をきたしているかどうかです。『強迫性障害』の場合、同じことを1時間以上繰り返したりするので、会社に遅刻したり、手をずっと洗い続けることで、常に手荒れやあかぎれ状態のままで生活をする。症状が悪化すれば、不安と恐怖で外出できなくなり、家にひきこもるケースもあります。このように社会生活を著しく阻害してしまうのです」
さらに強迫性障害は家族を巻き込んでしまうケースも多いという。
「家族に過剰に手洗いや除菌を要求したり、特定の場所に触ることを禁じたりすることもあります」
織田理事長によると、強迫性障害は、治療することで寛解状態に至る(治る)人が多いという。
少しでも日常生活や人間関係に支障をきたしていると感じたら病気を疑い、できるだけ早い段階で、専門医(精神科、心療内科)の診察を受けよう。