『絵本 地獄』だけじゃない! コワ面白い「ホラー絵本」5

『ママはテンパリスト』で知られる漫画家・東村アキコさんが、息子をしかりつけるのに使ったと紹介したことがきっかけで人気が爆発した『絵本 地獄』(宮次男監修/風濤社)。現在32刷で23万部を突破したそうだ。そこで『絵本 地獄』のようにコワ面白い「ホラー絵本」5冊を紹介しよう。

『ぼうぼうあたま』(ハインリッヒ・ホフマン作 いとうようじ訳/五倫文庫)。同書では「親の言うことを聞かずマッチ遊びをした女の子に火が移り、燃えて何もなくなってしまった」とか「いつまでも指をしゃぶっている子はその指を切り落とされてしまう」とか、道徳を守らない子に待っているのは過酷な運命。大人でも読んでいて何度も息をのむ。

『のっぺらぼう』(杉山亮作 軽部武宏絵/ポプラ社)。’10年の日本絵本賞受賞作。大人の言いつけを守らなかった子どもが山でのっぺらぼうに出会い怖い思いをするという民話を絵本にしたもので、これもメッセージ性が強い一冊。怖さ異様さのなかに、どこか懐かしさや温かさを感じ、大人も子供も楽しめる。

『もりのおばけ』(かたやまけん作・絵/福音館書店)。初版が’69年で長く読み継がれている一冊。一緒に森に行った弟がいなくなり、声をかけると森のあちらこちらからおばけが出現。弟が消えた恐怖、真っ暗な森を一人で逃げる恐怖など、同じ「怖い」でも怖さの種類や程度は同じではないことがわかる。

『いるの いないの』(京極夏彦作 町田尚子絵 東雅夫編/岩崎書店)。何がいるのかもわからない、それよりそもそもいるのかどうかすらわからない。冷たい汗がじわっと滲むような怖さをたっぷり味わえます。著者の京極夏彦さんは、こう指摘。

「よく”大人が読んで怖いから子どもには読ませられない”という人がいますが、それは大人の感性。何を読むかは子どもに任せるべきで、何が怖いかも子どもが自分で決めなければいけない」

『ちょうつがい きいきい』(加門七海作 軽部武宏絵 東雅夫編/岩崎書店)。音から連想される感覚的な怖さと”死”の持つ本質的な怖さがないまぜになって、肌が粟立つ怖さを体験する一冊。呪術や怪談に詳しい著者の加門七海さんは語る。

「恐怖は、普通の日常、当たり前が崩される瞬間に潜んでいると思います。たとえば、毎朝の満員電車に自分以外誰も乗っていなかったら怖くなりますよね。大人が読んで感心するものや大人が子どもに読ませたいような道徳的な本ではなく、子どもが怖いと思う本を作りたいと考えていましたので、ありふれているものにこそ非日常が隠れていることを表現してみました」

 

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