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(写真・神奈川新聞社)

川崎市の市立中学1年男子生徒殺害事件で、殺人と傷害の罪に問われた無職少年(19)の裁判員裁判の判決が10日、横浜地裁(近藤宏子裁判長)で言い渡される。3人の少年が起訴された事件で初の判決。起訴内容に争いはなく、公判で明らかになった犯行態様とともに、少年の心理状況を裁判員らがどう判断するかが焦点となる。

 

検察側の冒頭陳述などによると、無職少年は殺害された男子生徒=当時(13)=の親しみやすさに、「イラッとした」という。多摩川河川敷で殺害した約1カ月前、少年は男子生徒の顔を殴り、左目付近に青あざができるほどのけがを負わせた。このけがで男子生徒の知人らも加わるトラブルになり、告げ口したと誤解した少年が「逆恨み」することになった。

 

殺害当日の昨年2月20日は、少年はたまたま男子生徒と合流。公判での少年の供述によると「焼きを入れよう」と暴行を企てたところ、別の少年にカッターナイフを差し出され、殺害に至ったと説明した。遺体には43カ所の傷跡が残っていた。

 

公判では、犯行態様や少年の内面に対する評価をめぐり、検察側と弁護側が主張を対立。検察側は「目に涙をためながら許しを求めた被害者に、多大な恐怖と苦痛を与えた」と強調。真冬の川を泳がせるなど「哀れみなど人間的な感情が感じられない犯行」とし、「主犯格として最も重い責任を負うべき」と指摘した。

 

弁護側は、多数の傷は恐怖から1人ではできず、複数で分担したことで結果的にできたと主張。少年の「逡巡(しゅんじゅん)」によるもので「悪質性に結びつかない」と説明した。また、少年は幼少期に親から体罰を受けるなど「暴力以外の解決方法を知らなかった」とも訴えた。

 

少年に対し、検察側は2014年の少年法改正で不定期刑の上限となった懲役10年以上15年以下を求刑。一方、弁護側は改正前の上限と同じ懲役5年以上10年以下を求めた。改正された少年法の下で、裁判員らがどのような判断を下すか、注目される。

 

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