(写真・神奈川新聞社)
鎌倉市内で初めて、古墳時代の箱式石棺墓(はこしきせっかんぼ)が出土した。棺内には10代半ばの男性とみられる人骨が埋葬されていた。市は「沿岸部での葬送や墓制を明らかにする上で貴重な発見」としている。
由比ガ浜こどもセンター(同市由比ガ浜)建設に伴い、2月から実施していた発掘調査(調査面積1140平方メートル)で、海から約400メートルの地点で1基が出土。棺は長さ2・3メートル、幅1・1メートル、深さ45センチメートルで石を並べて造られている。
市文化財課によると、墓は古墳時代中期~後期(5~7世紀)のもので、人骨は身長や発達具合から10代半ばの男性とみられ、あおむけに体を伸ばした状態だった。全身の骨が非常に良い状態で残っており、副葬品はなかった。
同時代の箱式石棺は西日本沿岸部では多く発見されているが、中部地方では例がないという。県内では今回が13例目で、横須賀や三浦に集中している。同課は「年少者の墓をつくって葬るのは珍しい。海を移動し漁などで暮らしていた勢力の跡取りではないか」と推測している。
12日には午前10時と午後2時の2回、現地見学会を開く。問い合わせは、同課・電話0467(61)3857。
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