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(写真・神奈川新聞社)

横浜市中区本郷町の玩具店「やまざき」が25日、半世紀を超える歴史に幕を下ろす。店を営む山崎二三子さん(76)は「亡くなった主人の思いを受け継ぎ、ひと区切り付いた」と話す。名残を惜しみ訪れる客が後を絶たない。

「閉店セール」と張られた店内には、色あせた箱に入ったファミコンのソフトやプラモデル、古い盤ゲーム、最近のカードゲームなどが並ぶ。山崎さんは「古い品物だからと安売りしたら、インターネットのオークションで高値が付いていて驚くことも多いですよ」と明かす。

店は夫・辰文さんの兄が1960年に始め、64年に辰文さんが引き継いだ。26歳で同い年の二三子さんと結婚。以来、夫婦で続けてきた。

かつては五月人形やひな人形も販売していた。「じっくり選んで買ってくれたサラリーマンが、そのうち孫を連れて来てくれた」

2009年12月27日、辰文さんは亡くなった。「おもちゃと子どもが大好きだったので、供養の思いを込めて(直後の)元日は店を開きました」と振り返る。

「夫のためにも5年は続けよう」。だが、今年の元日は、店を開けられなかった。「張り詰めていた気が抜けた。寂しいし、つらいけれど、元気なうちに店を閉じようと」。嫁いで半世紀になる区切りの年でもあった。

近くに住む男性(48)は「横浜市電が目の前を通っていた幼稚園児のころ、父親にプラレールを買ってもらった。閉店までに父親を連れて来ますよ」。閉店を知った親子が何組も訪れ、バラの花をプレゼントする人もいる。

周辺は2、3世代続く店が多く、人情味あふれる雰囲気は変わらないという。「閉店を決めたことを話すと、送別会を開くからねと言ってくれるんです」。店頭には向かいの精肉店の男性が作ったプラモデルの完成品が並ぶ。「一つだけは記念として非売品なんですよ」と笑った。

問い合わせは同店・電話045(623)1147。

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