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(写真・神奈川新聞社)

日産自動車(横浜市西区)は22日、同区のパシフィコ横浜で株主総会を開き、カルロス・ゴーン社長の2016年3月期の役員報酬が前期比3600万円(3.48%)増の10億7100万円だったと明らかにした。2年連続で10億円を突破。役員報酬の総額は16億4500万円だった。

総会では、燃費データ不正が発覚した三菱自動車に関する質問が株主から相次いだ。同社との資本業務提携締結には「消費者を裏切る企業に投資するのは考えられない」と厳しい声も。

ゴーン社長は「三菱自動車とは長きにわたり協業し、戦略的な関係が必要と思っていた。パートナーの問題をサポートしたいと話し合いが始まった」と経緯を説明。電気自動車の開発や厳格化する排ガス規制への対応には多額の投資が必要として、「協力関係は大きなシナジー効果を約束する」と繰り返し強調した。

三菱自から供給を受けていた軽自動車「デイズ」「デイズルークス」の所有者への対応についても質問が飛んだ。日産は1台当たり最高10万円を補償し、ほかにも「ディーラーで点検を受けられるようにするなどの施策を考えている」(星野朝子専務)とした。

両車種が販売停止中である事態を受け、西川廣人副会長は「ご心配を掛けて申し訳ない」と陳謝。「徹底的な再発防止策を図ることが必要」と述べ、販売再開に向けて三菱自と協議中であることを明かした。

総会後、株保有歴5年という女性(71)はゴーン氏の報酬について「フランス政府による介入の懸念を払しょくしただけでなく、危機的状況だった三菱自動車によく手を貸せたな、と思った。辣腕(らつわん)ぶりをあらためて実感させられた」と納得の表情。世界経済の退潮などで円高が進行し、業績への影響も懸念されるが、「悲観している場合ではない。グローバルの競争だから、売れるところでしっかり売ってくれればいい。為替影響を踏まえ、業績横ばいでも本年度は及第点と考えている」などと語った。

ゴーン社長就任前から20年近く株主という男性(51)は三菱自との資本業務提携に期待。「日産は軽自動車を自前でつくったことがなかったが、軽自動車は国内市場ではとても重要。トヨタにダイハツがあるように、日産に三菱があるということになれば国内はよい体制が築ける」と話した。

株主総会には前回より398人多い2,098人が出席し、1時間51分で終了した。

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