(写真・神奈川新聞社)
動物病院で犬や猫の見守りをサポートするセンサーシステム「monipet」を、システム開発を手掛けるIT企業「ジェイエスピー」(横浜市西区)が昨夏に開発し、6月までにスマートフォンでの提供を始めた。手術後などに容体が急変した場合に異常を感知し、アラームで通知する。「病院スタッフの負担を軽減する一助にしたい」と同社は話している。
システムは、手術後など安静状態にあるペットの容体を記録し、心停止や呼吸停止といった異常を検知すると獣医師や看護師にブザー音やメールで即座に知らせる仕組みとなっている。アンドロイドやiPhone(アイフォーン)対応アプリケーションで提供するほか、タブレット端末やパソコンでの操作も可能。スタッフが病院を離れる夜間でも、自宅のパソコンや移動中のスマートフォンから様子を確認できる。
特に手術後のペットは細かな経過観察が必要だが、獣医師が一人の動物病院は昨年末現在、全国で約7500施設と少なくない。多くの外来を受け持つ獣医師がペットのそばに居続けることは難しく、泊まりがけで働くスタッフもいるなど負担の重さが課題となっていたという。
この現状を知った同社は、介護施設向けの見守りシステムを手掛けていた経験を生かしmonipetの開発にも着手した。開発に1年を要したこのシステムは24ギガヘルツマイクロ波レーダーを使用し、ペットに接触することなく呼吸による微細な体動を計測する。
ネットワークカメラのオプションをつけると、映像と体動の波形がスマートフォンなどの画面上に同時に表示される。体動の回数などを約1カ月分記録してグラフ化する機能もあるため、直接観察できない夜間の状況を翌朝確認できるといった利点もある。
現在、全国約20の動物病院がシステムを導入。同社プロダクトサービス部部長で開発責任者の山本岳洋さんは「大切なペットを病院に預ける飼い主の安心にもつながる。積極的に入院を受け入れる病院や新規開業をする獣医師の人たちにどんどん使ってほしい」と話している。
システムの詳細・問い合わせは、同社・電話045(444)3474。