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(写真・神奈川新聞社)

横浜・みなとみらい21(MM21)地区で土地の暫定利用の期間を緩和する議論が進んでいる。現行の「MM21街づくり基本協定」は「原則10年以内」と定めているが、中長期的な事業展開を可能にすることで、土地の有効活用や街の活性化を図る。横浜都心部の一体化と強化を目的に、1983年にMM21事業が着工されて30年以上。街の在り方が、大きく変わろうとしている。

 

同地区では地権者らが締結した基本協定に基づき、開発が進められている。

 

この中で、暫定利用に関し「街のにぎわいを創出し本格開発を誘導する手法の一つ」と定義。「情報発信による地区のイメージや認知度向上」「就業者や来街者の利便性確保」などを目的とし、建物の設置は原則10年以内と定めている。

 

10年間の定期借地権による商業施設から数年に及ぶ自動車展示場、短期のイベントまで幅広い形の暫定利用がなされ、これまでの代表的事例としては、大型商業施設「横浜ジャックモール」(1999年~2012年)やエンターテインメント施設「GENTO YOKOHAMA」(04年~15年)が挙げられる。

 

現在は商業施設「アルカエフ」などが営業中。また、07年に開業した「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」が、土地を所有する都市再生機構(UR)との契約で17年に暫定利用が終了。同地区内の別の街区への移転・開業(19年予定)が決まっている。

 

市都市整備局の集計によると、同地区計186ヘクタールのうち道路・鉄道や公園緑地、埠頭(ふとう)を除いた87ヘクタールで本格利用されている土地は71.6%、暫定利用地は14.6%(6月20日現在。いずれも計画中を含む)。残る約14%が未利用地となっており、横浜高速鉄道みなとみらい線新高島駅付近に目立つ。

 

一般社団法人みなとみらい21の友田勝己理事長は、土地は売却されるのが望ましいが、経済情勢などに影響され、難しさもあるとした上で、「東京五輪を控え来街者の増加が見込まれる中、草が伸びきった土地が点在するのは好ましくない」と語る。土地購入に比べ初期投資の少ない暫定利用のルール緩和によって、土地の有効活用が進むと同時に、進出する企業が地域に根付き、質の高い施設が建設されるよう期待しているという。

 

友田理事長は期間延長に向け、地権者らとの間で検討中とした上で、「時代に合わせて街のルールを見直す必要がある。企業が進出しやすい環境を整えるため、課題を整理し、できるだけ早い時期に合意形成を図りたい」と話している。

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