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(写真・神奈川新聞社)

 

東京湾唯一の無人島で、夏場の観光スポットとして人気の猿島公園の閑散期対策に、横須賀市が知恵を絞っている。閉園後の時間帯を利用し、このほど初のイルミネーション事業を試行。モニターを募って今後の利活用に向けたニーズを探るなど、冬期や夜の新たな魅力づくりを模索している。

 

月明かりが照らす東京湾を、臨時の観光船に揺られること10分余り。普段は暗闇に包まれる島内は約3万球の光で装飾され、参加者は約2キロ対岸の市街地の夜景と併せて1時間ほどの非日常を楽しんだ。

 

ツアーは12、13の両日に実施。冬期は午後5時に閉園となるが、地元の船舶運航業「トライアングル」(同市小川町)の協力で実現した。無料のツアーとあって、両日計200人の定員に対し900人超が応募。妻と孫2人と参加した市内の男性(70)は「高層マンションが増えて、横須賀の景色が大きく変わった。新しい観光スポットとして宣伝していいんじゃないか」と話す。

 

市によると、2015年度の同公園利用者は15万6,439人。大人200円、小中学生100円の有料化初年度にもかかわらず、前年度より5万人近く客足を伸ばした。市の積極的なメディア戦略が奏功し、特に若年層の利用が急増した。

 

ただ、多くは海水浴やバーベキューを楽しめる夏期や5月の大型連休に集中。市も閑散期対策に乗り出しており、昨秋には「無人島レストラン」と題したイベントを開催。観光船の運航がない冬期の平日には、撮影や興行目的で企業などに島内を丸ごと貸し出す仕組みも整える。

 

市によると、今回のツアーを好意的に受け止めているのは参加者の6割程度といい、担当者は「閑散期の利活用への期待は感じたが、イルミネーション自体は珍しい取り組みではない。自然豊かな猿島らしさをどう打ち出すかが課題」としている。

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