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(写真・神奈川新聞社)

 

散りにくいバラいかが-。平塚市片岡の大沢園芸でバラ園を営む大沢知明さん(36)が、鮮度の高いバラを保証する制度「花き日持ち品質管理認証」を取得した。県内のバラ農家で唯一の“お墨付き”で、市内外に高品質なバラの魅力をアピール。大沢さんは「丹精込めて育てた平塚のバラを多くの方に知ってもらいたい」と力を込める。

 

高貴な甘い香りが包む千坪のバラ農園で、大沢さんはサラリーマンを経て10年ほど前から年間約30万本の出荷を手伝ってきた。「日持ちしないというバラの悪いイメージを払拭(ふっしょく)したい」「業界として抱える課題を解決する姿勢をみせたい」-。父・実清さん(63)の技術や経験を体に染み込ませながら、抱き続けた思いに対する答えを認証制度に見いだした。

 

花き先進国・オランダの総合認証システムにならい、2015年に国内で導入された同制度。「もともと品質には自信があったけれど、第三者に認められた方が説得力が増す。利用しさらに信頼を得られたら」と、挑戦を決意した。

 

バクテリアの発生を抑えて切り口から水を吸いやすくする前処理剤の使用をはじめ、新鮮な状態での出荷を証明する採花日記録など、全19項目の検査中18項目で満点の評価を受け、認証を獲得。唯一評価されなかった「はさみの洗浄度」は、検査で初めて切り花用ハサミに除菌剤を使うことを知った。今は「農園をさらに良くするヒントになった。現状ならもう満点ですよ」と胸を張る。

 

出荷後も1週間は咲き続けるバラのファンは拡大中で、大沢園芸と「指名買い」する小売店もあるという。一方、近年は安価な輸入バラも品質が向上し、国内産は高品質という特徴が薄らいでいる危機感も口にする。「これ以上できないと言えるくらい、地道に真心と誠意を込めて育てている。そんな平塚のバラを広めていきたい」。認証に裏打ちされた一輪に、そんな真摯(しんし)な思いを込める。

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