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(写真提供:山口蓬春記念館/神奈川新聞社)

 

日本画家・山口蓬春(ほうしゅん)(1893~1971)が愛用した画室が改修工事を終え、葉山町一色の山口蓬春記念館で再び公開されている。53年に近代数寄屋建築の名匠吉田五十八(いそや)(1894~1974)が設計を手掛けた。当初の状態にできる限り戻すことを最優先し、蓬春の創作の原風景を感じることができる。

 

記念館の建物は、蓬春が48年から亡くなるまで過ごした自邸。蓬春と東京美術学校(現東京芸術大)の学友だった五十八が、画室をはじめ増改築を手掛けた。

 

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(写真提供:山口蓬春記念館/神奈川新聞社)

 

画室は、蓬春が亡くなる直前から記念館開館までの20年以上ほとんど使われなかった。その間補修工事も行ったが、壁の色味が変わってしまったり、建具の立て付けが悪く隙間ができたりしていたという。「蓬春の作品はもちろん、この画室も伝えていくことが使命」と館長。なるべく元の資材を用い、当時の意匠や質感を意識して実際に使った画室を残すことを最も重視した。

 

昨年10月から始まった工事中、発見もあった。天井から4センチほど下がった壁に白い線が引かれていた。館長は「大きな作品が収まるように天井を上げたのでは」と推測。工事を手掛けた工務店は「吉田先生が手掛けた別の建物でも同じような痕跡があった」と驚いた。

 

床はホンザクラを寄せ木で張った凝った造り。一枚ずつはがして汚れを落とし、使えるものは丁寧に張り直した。屋根を葺(ふ)き替え、床下を補強して内壁も塗り替えた。館長は「蓬春が想像力をかきたてた風景に思いをはせてほしい」と来場を呼び掛ける。

 

問い合わせは、同記念館・電話046(875)6094。