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(写真・神奈川新聞社)

 

横浜市中区の三渓園で竹の一種「タイミンチク」の花が咲き、訪れる人の目を楽しませている。竹の開花周期は約100年といわれ、同園での開花記録は1928年以来、89年ぶり。同園の担当者は「いつまで開花しているかも分からないが、珍しい花を見てもらう貴重な機会」と話している。

 

同園によると、タイミンチクは同園が造成された1906年以前から自生。現在は中国風建築物「聚星軒(じゅせいけん)」の跡地周辺で見ることができる。

 

竹の茎から枝分かれして成長した芽の穂先からぶら下がる形で花が咲き、同園ではことし4月下旬ごろから約250平方メートルの範囲で開花を確認。長さ約3~5センチの花が咲き、先端部分で薄黄色の雄しべ3本が可憐(かれん)に風に揺れる様子を多くの来園者がカメラに収めていた。

 

植物の遺伝学が専門の市立大学木原生物学研究所・坂智広教授は「竹が開花する時期や、開花周期がこれほど長い理由は明確に分かっていない」とした上で、「竹は氷河期以前から生きている非常に古い植物。竹の持つ不思議な生態系を解明する貴重な機会になるのでは」と期待する。

 

一方で、「植物は花が咲くとそこで成長が止まり、枯れてしまう場合が多い」と坂教授。同園では今後、枯れた場合の竹の処理や園内の景観変化への対応などが求められる可能性もあるという。同園の担当者は「観察を通して竹の生態系を調べていきたい」と話している。

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