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(写真提供:神奈川県自然環境保全センター/神奈川新聞社)

 

丹沢山地に生えるササの一種「スズタケ」の開花・枯死が多発している。数十~百数十年周期で起きる珍しい現象とされているが、詳細は不明。2013年に初めて確認され、16年も報告が相次いだ。丹沢においては過去の記録などがなく、生態系にどのような影響を及ぼすか、関係者は推移を注視している。

 

県自然環境保全センター(厚木市七沢)によると、13年に主稜線部を中心にスズタケの開花が確認された。丹沢山や檜洞丸、大室山などで範囲の拡大が目立ち、ササの仲間「ミヤマクマザサ」でも同様な現象が一部で見られる。

 

タケ・ササ類は開花直後に枯死し、多個体が同調する習性がある。回復するには20年程度かかるとの研究報告もある。原因は解明されておらず、同センターは調査を継続している。

 

ただ、大量枯死はスズタケを冬場の貴重なエサにしているニホンジカの食害に影響する。特に西丹沢方面では近年、エサ不足から樹皮を食べてしまう被害が拡大し、植生衰退が確認されている。

 

同センターが16年に関係機関から集めた最新情報によると、開花はスズタケ8件とミヤマクマザサ2件、枯死は同じく28件、1件などだった。丹沢全域での調査は未実施で、面積推定は難しいという。

 

同センターの山根正伸研究企画部長は「丹沢で過去にこうした現象がいつ起きたのか、今後は開花・枯死が拡大するのか、収束するのか、現段階では分からない。ブナ林の下に密生するスズタケの消失が生態系に及ぼす影響についても引き続き観察していく」と話している。

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