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(写真・神奈川新聞社)

 

相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で昨年7月26日、19人が刺殺された事件から1年を迎えるのを前に、県などが主催する追悼式が24日、同市南区内で開かれた。遺族や施設職員をはじめ、黒岩祐治知事、地元の加山俊夫相模原市長ら関係者671人が参列。全員で黙とうし犠牲者を悼んだ。

 

県によると、参列した遺族は12組25人。施設の利用者ら同園の関係者は158人に上った。

 

家族会の大月和真会長は「私たちのささやかな幸せが、わずか30分余りの残忍な犯行で踏みにじられてしまった悔しさは、時に触れ折に触れ、こみ上げてくる。卑劣な犯人を決して許すことはできない」と強調した。

 

塩崎恭久厚生労働相が政府を代表して出席し、「誰もが自分の夢を持ち、自分の能力を発揮でき、居場所があって頑張ることができる日本を目指す」という安倍晋三首相のあいさつを代読した。

 

代表献花の間は、脳性まひや網膜変性症などの障害があるバイオリニストの式町水晶さんが「津久井やまゆり園の歌」など、追悼曲を演奏した。

 

〈津久井やまゆり園事件追悼式〉。こう墨書された白木の柱が、園の利用者が折り紙で作ったヤマユリの花と地元の豊かな自然をモチーフにした祭壇の中央に立つ。だが、その壇上に、命を奪われた19人の遺影はなく、名前も読み上げられなかった。

 

「満開の桜の中で甘酒を楽しんでいるあなた」「小学生と二人三脚を頑張ったあなた」「我慢強くて笑顔がすてきなあなた」…。

 

参列した遺族から聴いたという犠牲者の人柄を壇上で語った黒岩祐治知事は式典後、「本来ならば19人の名前を申し上げ、遺影が飾られていても不思議ではなかった。しかし、まだそれが許されない日本の現状をとても残念に思った」と胸中を吐露。

 

一人一人のエピソード紹介にとどまったことを「大きな宿題をもらった」とし、障害者を特別視しない「真の共生社会を実現することが大きな目標」と改めて強調した。

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