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(写真・神奈川新聞社)

 

相模原殺傷事件で命を奪われた19人の氏名公表を巡り、黒岩祐治知事は25日の定例会見で「1年が過ぎて『愛称だけでも』と話したが、家族から同意を得られなかった」と吐露。今も家族が抵抗せざるを得ない社会を憂い、障害者を特別視しない共生社会の実現を訴え続けていくと改めて誓った。

 

事件発生時、県警は「知的障害者の支援施設であり、遺族のプライバシー保護の必要性が極めて高い」として犠牲者を匿名で発表。県も「家族の意向に配慮するのはやむを得ない」(黒岩知事)として氏名を明らかにせず、24日の追悼式では「我慢強くて笑顔がすてき」といった19人の人柄の紹介にとどめた。

 

知事は会見で「家族の意向を抑えてまで発表することはふさわしくないという思いは今も変わらない」としながらも、「本来なら犠牲者名を読み上げて皆でしのぶのが普通」と言及。式典の10日ほど前に家族会と園側に氏名や愛称の公表を打診したが同意を得られず、「せめて思い浮かべられるエピソードを」と再要請しても、当初は「特定」を懸念して4~5件しか集まらなかったと打ち明けた。

 

その上で「家族を責めるのではなく、周囲の差別を痛いほど感じる社会がまだあることの裏返し」と述べ、排除のない社会の理念を繰り返し訴えていくことの必要性を強調した。

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