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(写真・神奈川新聞社)

 

【時代の正体取材班=石橋学、牧野昌智】自民党総裁や官房長官、外相、衆院議長を歴任した河野洋平氏(80)が戦後72年の終戦記念日を前に神奈川新聞社のインタビューに応じ、安倍晋三政権の政権運営や外交政策を批判した。かつての自民党ハト派の重鎮は「政治とは戦争をしないことだが、その逆をやっている」と断じ、対米追従一辺倒の姿勢に警鐘を鳴らした。

 

河野氏は官房長官だった1993年、慰安婦問題で旧日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」を出すなど、2009年に政界を引退するまでアジア重視、保守穏健派の代表格として知られた。

 

インタビューは7月下旬に行われたが、その後の内閣改造で外相に就任した長男、太郎氏(54)への忠告といえるものになっている。護憲、軍縮、核廃絶に取り組んできた立場から「戦争で問題は解決しない。外交や政府開発援助(ODA)など経済的手段で解決するしかない」と持論を語り、「中国や韓国との関係改善を望む気持ちは国民の中にあると思う。わが国を攻める国があるのなら、そうした国と仲良くして攻められないようにすればよい」とアジア外交の重要性を説いた。

 

集団的自衛権の行使容認に転じ、憲法9条の改正を提唱するなど対米追従を強める安倍政権の安全保障政策に対し「米国の軍事的要求を断ってきた9条というかんぬきを自ら緩めている。米国は相当好戦的な国だ。トランプ大統領も平和主義者に見えない。どこへ連れて行かれるのか」と危機感を募らせた。

 

緊迫する北朝鮮問題にも言及し、核・ミサイル開発と拉致問題の解決のためには中国に働き掛けを求めるべきだと唱え、「米国に同調し制裁しているだけは危機は減らない。拉致問題解決のためにも外交を中心に据えるべきで、今すぐは無理だが、国交の樹立は解決の足掛かりになる」とも語った。

 

さらに沖縄・辺野古の新基地建設問題についても触れ、「新たに基地が造られれば沖縄に100年先も米軍基地が存在することになる。独立国とはいえない」と批判。安倍政権を「国民に寄り添わず自分のやりたいことをする政権という印象だ。4年も5年も国民の希望や期待とかけ離れた政治が行われ、国民にとって実に不幸なことだ」と酷評した。

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