(写真・神奈川新聞社)
相模湾沿岸を中心とした台風21号の高潮・高波災害で、海沿いの施設が受けた被害の深刻さが徐々に明らかになってきた。海水が入り込み激しく傷んだ藤沢市の観光名所「江の島岩屋」は、復旧のめどが立たない状況。鎌倉市の海岸では漁具などが流失し、シラス漁に影響が出ている。
藤沢市が25日に公表した被害集計によると、岩屋では土砂や流木が中にたまっただけでなく、洞窟へ通じる橋の欄干や柵が押し流された。入り口付近の階段も被災し、鉄筋がむき出しの状態になっている。市は23日から岩屋周辺を立ち入り禁止としたが、現時点で営業再開のめどは立っていないという。
また、江の島の下水道施設も海水が流れ込んだ影響でポンプを動かす電気設備が破損。片瀬漁港では、押し寄せた波が運んできたごみや流木が堆積し、扉が開かなくなったり、シャッターが折れ曲がったりした。
鎌倉市の材木座から腰越にかけての海岸では、漁具などを保管する小屋が相次いで大破した。漁師の男性(33)は「根こそぎにされた小屋もある。漁網も流されたり、破れたりした」と損害の大きさを嘆いていた。
小田原市東部では海岸近くに立地する市の福祉施設で窓ガラスが割れ、横須賀市佐島でも住宅などに被害が確認された。また、東京湾側の横浜市内でも、高潮などが原因とみられる防潮堤の損壊や浸水があった。
一方、23日から全線通行止めが続いていた西湘バイパスは25日朝に暫定開通。大磯町内の路肩崩落箇所付近は片側1車線の対面通行となっている。
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