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(写真・神奈川新聞社)

 

川崎市や東京都世田谷区、東急電鉄、楽天など官民でつくる勉強会が、多摩川流域の新しい生活経済圏づくりに取り組み始めた。第1弾として、多摩川河川敷を活用したアウトドアオフィスの社会実験に中原区内で着手。満員電車の解消や子育て環境の改善から都心勤務が招く問題に目が向く中、同会は「都心のオフィスと真逆の新しいワークスタイルを多摩川から発信したい」とし、働き方改革に一石を投じたい考えだ。

 

好天に恵まれた今月2日、川崎市中原区上丸子天神町の多摩川河川敷で、アウトドアオフィスの社会実験が行われた。対岸に品川区から移転してきた楽天本社や東急田園都市線二子玉川駅が間近に見える河川敷に六つのテントが張られ、富士通やNECなど5企業の社員らが打ち合わせに使った。

 

企画したのは「多摩川流域まちづくり勉強会」。郊外に暮らし都心のオフィスに勤務する従来型の働き方を見直し、職住近接の新しい働き方を発信する目的で企画。多摩川河川敷の都心からさほど遠くなく、都市と自然が融合した環境に着目した。公共空間の有効活用を探る川崎市の意向とも合致した。

 

1日限りの試みは利用者の反応も上々。大手不動産会社部長の男性(52)は「社内の会議室ではなく、オープンな場だったので発想も広がり、みんなが発言しやすくなる効果はあったと思う」。横浜市港北区から東京・千代田区に電車通勤する大手シンクタンク研究員の男性(45)は「電車の混雑ピークをずらして通勤するため、晴れた日なら午前中だけ多摩川河川敷で仕事をしてもいいですね」と話していた。

 

最近は満員電車の混雑回避や、子育て中の働き方の一つとして、郊外のシェアオフィスやコワーキングスペースを活用する動きも出てきている。企画を主導する東急電鉄都市創造本部の担当者は「働く場と住む場が都心と郊外に離れ、そこを同じ時間に行き来するのは非効率となっている」と説明。さらに「都心のオフィス勤務の真逆として自然豊かな河川敷で働くスタイルを象徴的に見せ、働き方改革のムーブメントを起こしていきたい」とし、今後も企業ニーズを見ながら多摩川流域の活用策を探っていく構えだ。

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