(写真 神奈川新聞)
サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会開幕まで2カ月余りで日本代表を率いることになった西野朗新監督(63)に、神奈川から力強いエールを送る恩師がいる。元日本代表監督で、現在は葉山町でコーヒー店を営む二宮寛さん(81)は「選手、指導者としてのキャリア十分の最適任者。西野ならばファンを驚かせるくらいのサッカーを平然とやってのけるはず」と背中を押す。
慶応高出身で、日本リーグ・三菱重工の選手、監督として活躍した二宮さん。代表を指揮した1970年代後半、有望選手を西ドイツ(当時)に武者修行させる画期的な手法で強化に努め、奥寺康彦さん(66)=現横浜FC会長=らとともに現地へ送ったのが西野さんだった。
学生時代から代表入りし、端正なマスクで人気を呼んだ教え子を、二宮さんは現代表主将の長谷部誠選手(34)に重ね合わせ、「勝利への執念を内に秘めるタイプで、派手さはないが忠実に役割をこなす。選手としての総合力が高く、状況判断にも優れていた」と評価してきた。
96年にアトランタ五輪代表を率いてブラジルを破る「マイアミの奇跡」を演じ、J1ガンバ大阪監督としてアジア制覇を果たすなど国内外で実績を重ねた西野さんの代表監督就任を望み、昨年も直接会って「何で君が監督に手を挙げないんだ」と叱咤(しった)したという。
W杯出場6度目の日本代表で、本大会直前に指揮官が交代するのは初めて。短期間でチーム再建とロシアでの躍進を託される難局に、二宮さんは「まずは対話を通じて選手の目の輝きを取り戻し、全幅の信頼でピッチに送り出してほしい」とアドバイスする。
いまも40年前の教え子とは年に1、2回集まるといい、二宮さんは「プレッシャーをかけちゃいけないが、祝勝会を開けたらいいね」と、大会後の再会を楽しみにしている。