(写真・神奈川新聞)
かつて松竹撮影所があった“映画のまち”に活気を呼び戻そうと、恒例の「大船まつり」が20日、JR大船駅東口(鎌倉市大船)で開かれた。市民らが銀幕スターになりきって練り歩く仮装パレードには、車いす利用者が“初出演”。「障害の有無は関係ない。みんな一緒に楽しみたい」との思いを胸に、往時のにぎわい復活に一役買った。
まつりは15回目。パレードは、参加者が「男はつらいよ」シリーズの寅さんやマリリン・モンローなど多彩なスターに扮(ふん)し、訪れた人を楽しませる目玉企画となっている。4回目の今年は2020年東京五輪・パラリンピック開催も念頭に「誰もが一緒に楽しめるまつりを」と有志が提案し、3〜63歳の車いす利用者10人が初めて参加した。
テレビで人気の「機関車トーマス」やレースゲーム「マリオカート」のキャラクター、かぼちゃの馬車とシンデレラ……。車輪を生かし、テーマは「車いすだからこそできる面白いもの」。一人一人の車いすのサイズに合わせ、NPO法人湘南バリアフリーツアーセンター(同市雪ノ下)などのスタッフが段ボールや新聞紙で仮装を施した車いすで登場。沿道の観客が歓声を上げると、10人は手を振ったり、ポーズを決めたりするなどスターさながらに約1・4キロを練り歩いた。
「お姫様」に扮した女性(18)=藤沢市=は「楽しかった」と満面の笑み。一緒に歩いた母親(49)は「車いすではイベントに行きづらく、パレードに参加する機会はなかった。娘の笑顔が見られてうれしい」と喜んだ。脳性まひ当事者の女性(39)=鎌倉市=は文字盤を一文字ずつ指さし、「みんなで一つのパレードができた。普段はできない経験」と喜びを表し、来年も参加したいと何度もうなずいていた。
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