(写真・琉球新報社)
夜型社会といわれる沖縄で朝営業の飲食店が増えている。中でも県産食材や無添加食材にこだわる店や一汁三菜がそろう店が人気を集めている。朝、出掛けるぎりぎりの時間まで眠り、何も食べずに慌てて出掛けているあなた。まずは一度、ゆっくり座って朝ご飯を味わいながら、一日のエネルギーを満たしてみるのはいかが。
■旅人と一緒に
那覇市・沖映通りの裏路地にある「つきのわ食堂 朝ご飯屋 てんこもり」。店主の齋藤典子さん(42)と併設する民宿「月光荘」に宿泊する旅人たちが「いらっしゃいませ」ではなく「おはよう」と迎えてくれる。朝ご飯営業は7時から11時まで。
大きなガジュマルがつくる陰の下で涼みながらいただくのは、公設市場で調達した食材や、自家栽培した野菜などで作られた日替わりご飯。無農薬玄米に汁物、島野菜で作ったおかずなどが並ぶ。
齋藤さんが食材を選ぶ上で重視しているのは「地産地消」。「沖縄の太陽の光を浴びて育った野菜を使いたい」。公設市場に並ぶ県産野菜を中心に、小規模ながらも愛情たっぷりに耕した畑で採れたシソやゴーヤーを使うこともある。
モズクのみそ汁をすすっていた男性(24)は「典子さんの作るご飯のおかげで仕事を頑張れる。一日の元気の源になっている」と顔をほころばせた。
おなかいっぱいになった後は、「行ってらっしゃい」の声に見送られて一日をスタートさせた。
■こだわりのみそ
今年3月にオープンした那覇市泉崎の「味噌(みそ)めしや まるたま」。7時半に開店するやいなや、かりゆしウエアやスーツを着た人たちが席を埋める。
「まるたま」では県内最古のみそ蔵、玉那覇味噌醤油(しょうゆ)が作るみその味を楽しめる。人気メニューはもちろんみそ汁。500円の「肉味噌納豆定食」が人気だ。定食は玄米にみそ汁、漬物にサラダなど7品がそろう。
「お店を始めたころはおにぎりとみそ汁しかなかったが、しっかり食べたいというお客さんの要望を受けて定食メニューを作った」と話すオーナーの中西武久さん(45)。3種類ほどしかなかった朝メニューは、現在7種類まで増えた。
定食を注文した県庁職員の女性(40)は「品数が多くてうれしい。一汁三菜がそろっている」と話し、栄養バランスを考えた朝食が取れることを喜んだ。
■台湾精進料理も
開業25年、那覇市壺屋の「金壺食堂」では、600円で台湾の精進料理を、バイキング形式で楽しめる。8時の開店に合わせて、この日は15品が所狭しと並べられた。
食材は店長の川上末雄(すえお)さん(50)が、近くの公設市場で調達している。「市場は沖縄のいい食材が集まっているからね」。黒米やハム、落花生にしいたけなどを詰め込んだオリジナルちまきは県外から注文を受けるほど人気。
「沖縄に来たときは必ずここで食事している」と話す東京都出身の大畑義弘さん(62)。「野菜がいっぱい食べられて体にいい。一つ気になるとしたら、おかわりが止まらないことかな」と笑った。