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カフーリゾートフチャクコンド・ホテルの挙式プランでウエディング写真を撮影した女性カップル=4月、恩納村
(写真・カフーリゾートフチャクコンド・ホテル提供/琉球新報社)

県内の宿泊施設が同性愛者や性同一性障害者などの性的少数者(LGBT)を対象とした宿泊プランやウエディングプランの商品造成を強化している。県内は、LGBT向けの挙式数が全国の上位になるほか、LGBT向けのスポーツ大会も多く宿泊需要も見込める。今後、沖縄がLGBTが快適に滞在できる「レインボーアイランド」を目指すには、性の多様性を尊重する「レインボー宣言」に賛同する企業の増加が課題だと指摘される。

 

カフーリゾートフチャクコンド・ホテル(恩納村)は2014年10月からLGBT向けのウエディングプランの販売を始め、平均1カ月1組のペースで、今年7月末までに計15組が利用した。15組ともホテルの公式ホームページを見て問い合わせたといい、うち10組が結婚式、5組が写真撮影だけのフォトウエディングを行った。約7割が女性同士で、北海道や東京、名古屋、岡山など全国各地から参加した。

 

同ホテルは、先月那覇市のテンブス館前広場で開かれた「ピンクドット沖縄2016」の人前結婚式を手掛けた後、LGBTからの問い合わせが増えたという。

 

LGBTウエディングプランを担当する阪田雄介マネジャーは「ウエディングドレスが2着必要なために女性同士の挙式は男女のカップルの3倍となる」と単価の大きさを話した。

 

一方、ホテルパームロイヤルNAHA(那覇市)は13年に「レインボー宣言」を掲げ、15年夏からLGBT向けの宿泊プランを発売した。LGBTがデザインした宣伝用のうちわを東京都新宿区のゲイバー100店に配布して集客を図った。夏の利用が最も多く、毎月十数件の宿泊があるという。

 

また、13年から新婚旅行で沖縄を訪れる同性愛者に1泊平均6万円のスイートルームに無料でアップグレードしている。これまで5件の利用があった。同ホテルは現在ウエディング事業を手掛けるディスカバーウェディング(那覇市)と連携し、「LGBTプチ・ウエディング」の商品も販売する。

 

高倉直久総支配人は「LGBTの市場は通販や化粧品と同規模の年間約6兆円ある」と話す。LGBTの受け入れに消極的な意見もあったというが、高倉総支配人は「全くリスクはない。むしろ利用者から感謝され、今後も続けてほしいとの声が多かった」という。

 

県ホテル協会の當山智士会長は「今後LGBTの受け入れに積極的な姿勢を示し、快適な旅をプロデュースしていきたい」と述べ、その上で「課題は多様性を尊重する沖縄社会の構築であり、ホテルスタッフも知識と意識の向上を図らないといけない。企業が意識向上のための研修を行う必要がある」と指摘した。(呉俐君)

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