(写真・琉球新報社)
NPO法人アートリンク(那覇市、宮島さおり理事長)は、沖縄の漆文化の普及を図るため、琉球漆器など漆に関連する企業や個人工房、教育機関、美術館をつなぐウェブサイト「おきなわ漆Web」を開設した。工芸家の活動や漆器を利用したライフスタイルの提案、関連イベントの情報を発信し、琉球漆器の知名度向上や潜在的な顧客の掘り起こしを促し、業界全体の底上げを図る。
県文化振興会の「沖縄文化活性化・創造発信支援事業」を活用した。県立芸術大学や浦添市美術館、県工芸振興センター、企業・工房など漆に関連する県内11の企業・団体が参加する「おきなわ漆Web検討委員会」を8月につくり、情報の収集や提供を行い、ウェブ運営をサポートしている。参加企業・団体は随時増やしていく。
サイトでは「音楽・祭り」「イベント・展示会」「ギフト」など漆に関する記事や写真などの話題を掲載している。「カフェ・ダイニング」のコーナーでは、黒の漆器をショープレート(飾り皿)として利用するフレンチレストラン・UEHARA(那覇市)を紹介。「音楽・祭り」では浦添市勢理客の獅子舞を取材し、漆を使った獅子頭を紹介した。
今後は食器やアクセサリー、飾り盆など企業や工房の作品を紹介して、生産者と消費者のマッチングを促す。「漆工芸よろず相談」コーナーを設置して、損傷した漆製品の修復などの相談も受け付ける。
工芸家の活動を支援するため、将来的にはウェブ上で寄付を募る「クラウドファンディング」の導入も検討する。
アートリンクの宮島理事長は「県内の漆企業は3社で職人も少なく、産業基盤はほとんどない。漆の文化と技術の継承が困難な状態にある中、業界全体のネットワークを構築して連携を図り、産業復興を目指したい。生産者と消費者をつなぐことで、企業や工房に製品製造の注文が入るようなビジネス展開の仕掛けづくりも模索したい」と狙いを語った。