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(写真・琉球新報社)

高価な商品を大量に購入する中国人観光客の「爆買い」行動が沖縄においても影を潜め、県内スーパー・百貨店では前年実績を上回って推移してきた毎月の免税売上高にブレーキがかかっている。

 

県内スーパー最大手のサンエーが5日に発表した2016年度の中間決算は4期連続の増収増益で、売上高、収益ともに過去最高を更新。失業率の低下など県経済の拡大を受けて個人消費は絶好調だ。だが、上地哲誠社長は「6月以降、免税売上高は前年割れになっている。今後も客単価は下がり、客数では増えて、全体としては微減という形で続いていくかと思う」と変化を説明する。

 

サンエーの売上高全体に占める海外客の免税売上高の割合は1・9%。比率として大きくはないが、第1四半期(3~5月)までは前年実績を上回って売り上げを拡大。1人当たりの購買額が大きく、中国人観光客の増加に伴って存在感を増してきていた。

 

豊田沢経営企画部長は「中国政府が4月に海外での購入品への関税を引き上げたことで、転売目的の高額のまとめ買いがなくなっている」と客単価縮小の背景を指摘する。

 

上地社長は「炊飯ジャーなど家電の大量買いが減る一方で、子供服ブランドや理美容商品は伸びている。単品集中から横広がりになっている」と買い物行動に変化が起きていると分析。「自分や家族には依然としてしっかりお金を使っている。今が本来の姿で、そこにどう応えていくかで知恵を出す」と強調する。

 

こうした傾向は他の県内小売店でも同様だ。県内唯一の百貨店のデパートリウボウ(那覇市)では売上高全体の11%を外国人客の免税売り上げが占め、そのうちの75%は中国人客という。営業企画課の仲田淳係長も「免税売上高は前年比での増加は続いているものの、伸び率は鈍ってきている。ただ、爆買いが減ったといっても、化粧品など消耗品の需要はまだ元気だ」と語る。

 

リウボウグループでは中国人観光客が増える国慶節に合わせ、中国版LINEとも呼ばれる「微信(ウェイシン、英語名WeChat)」によるモバイル決済の対応を可能にした。仲田さんは「来店者のSNSを通じてリウボウの商品が写真で拡散しやすくなるし、お金も瞬時に行き交う。海外客の利用しやすさを高めていく」と語る。

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