写真は2005年に仲里裕和さんが撮影。名護市辺野古沖を悠々と泳ぐジュゴン。2014年にも辺野古沖7キロ付近でNHKがアオウミガメが並んで泳ぐ姿を撮影した(写真・琉球新報社)
2015年1月以降、大浦湾で国の天然記念物であるジュゴンの姿が確認されていないことが25日までに分かった。同時期には沖縄防衛局が名護市辺野古沿岸海域に大型コンクリートブロックを投下していることから、自然保護団体は工事の影響を指摘する。防衛局は海域生物調査を現在中断しており、自然保護団体は、早急に調査を再開させるべきだと県に訴えている。
日本自然保護協会の安部真理子主任とジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんが、赤嶺政賢衆院議員(共産)を介して防衛局より入手した「シュワブ(H26)水域生物等調査報告書」で明らかになった。
報告書によると、防衛局は15年の1、5、9、11月で計20日間の航空調査を実施した。嘉陽海域で9回(延べ9頭)、古宇利島海域で3回(延べ4頭)を確認、重点海域における生息範囲調査では嘉陽海域で8回(延べ8頭)確認した。だが、14年の追跡調査で大浦湾周辺を移動するジュゴンの様子が2回確認されたが、15年は一度も確認されなかった。
また報告書によると、フロート(浮具)やアンカー(重り)が設置された14年8月から辺野古崎北側でジュゴンの新たな食跡も確認されていない。
安部主任は、国と県が争った訴訟の和解に伴い今年3月以降は防衛局による調査が中断していることについて「半年も中断するのは大問題」と指摘。県は制限区域内での独自調査が不可能であり、調査の質と予算の限界もあるとして「早急に防衛局に調査を再開させるべき」だと強調した。
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