(写真・琉球新報社)
松川郁子コーラスグループは15日、糸満市伊原のひめゆりの塔前で「相思樹の歌」を歌い、ひめゆり学徒を追悼した。「相思樹の歌」は、ひめゆり学徒が卒業式に向けて練習していたが、沖縄戦で歌えなくなってしまった歌。美しいハーモニーにじっと耳を傾けていたひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長は「聴くだけで亡き友達の顔が浮かんできた。友達も一緒に歌ったと思います。本当にありがとうございます」とお礼を述べた。
歌声を披露したのは、松川さんが主宰する「野ばらの会」「ローズ&ベルカント」「ロゼリーナ」「ビブラカンパニー」の4団体の約60人。
「相思樹の歌」は、太田博氏が作詞。県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部の校門までの相思樹の並木が詩の題材という。作曲は、沖縄戦の直前に沖縄師範学校女子部の音楽教師で、ひめゆり学徒隊の引率をして生徒たちと共に命を失った東風平恵位氏。ひめゆり学徒たちは、戦場で「相思樹の歌」を歌いながら励まし合ったという。去年、松川郁子コーラスグループが慰霊の日に合わせたコンサートで披露した。
ひめゆりの塔では松川さんらが献花した後、「相思樹の歌」と「ふるさと」の2曲を歌った。
島袋館長は「先生に頼んで卒業式に『相思樹の歌』を歌うことになった。みんな校歌と同じように歌い、下級生もしっかり歌えるようになった」と当時を振り返った。しかし、「72年前、3月25日の卒業式前の23日、艦砲射撃が始まり、卒業式もしないで南風原に向かった」と言う。
島袋館長は「たくさんの思いを込めてお礼申し上げたい。ありがとうございました」と静かに語った。
指揮をした松川さんは「ひめゆりの塔の前で奉納の気持ちを込めた。中高生にも、この歌の素晴らしさを伝え、後世に歌い継いでいきたい」と話した。