社会や経済の状況が高校生の進路や日常生活にどのように影響しているかについて沖縄県が実施した高校生調査の中間報告が6日、発表された。生徒の保護者が回答した世帯所得から「困窮世帯」「非困窮世帯」に分けると困窮世帯の割合が29・3%に上った。
困窮世帯では生徒の32・6%が現在アルバイトをしており、非困窮世帯(16・7%)の約2倍となった。
困窮世帯ではアルバイト代を「昼食代」(34・8%)、「家計の足し」(33・7%)、「通学のための交通費」(24・1%)に充てており、アルバイトで学校生活や家計を支える厳しい状況が明らかになった。
同調査は、2016年11~12月に県内全公立高校60校の2年生とその保護者を対象に実施し、生徒・保護者がそろって回答した4311件(有効回答率59・1%)を分析した。
算出方法が異なるため単純比較はできないが、2015年に県が明らかにした子どもの貧困率(29・9%)と同水準になった。
大学や専門学校への進学は、非困窮世帯では78・9%の生徒が希望したのに対し困窮世帯では66・1%と差が開き、家庭の経済状況が生徒の進路選択に影響していることが分かった。
希望する進路を「高校まで」とした生徒に理由を聞くと「進学に必要なお金が心配」「大学に進学できる学力がつかないと思う」が最も多く66・1%だった。
保護者への調査では、44・4%が現在の生活を「やや苦しい」「大変苦しい」と答え、家計が「赤字」と答えた世帯は32・9%だった。
中でもひとり親の親子世帯では過去1年間に食料を買えなかった経験がある人が45・6%に上った。
調査票の作成や分析に協力した加藤彰彦沖縄大名誉教授、山野良一名寄市立大教授、湯澤直美立教大教授のほか、事業受託者の県子ども総合研究所の堀川愛所長、県子ども生活福祉部の金城弘昌部長、子ども未来政策課の喜舎場健太課長らが会見を開いて説明した。
翁長雄志知事は、調査結果について「厳しい現状を深刻に受け止めている。性根を据えて課題の解決に取り組む」とコメントした。
◆困窮世帯の算出法
世帯の経済状況が子どもの育ちに影響していることを確認することを目的に、保護者が回答した世帯所得から推計した世帯収入を世帯人数で調整した「等価可処分所得」を算出。2013年度国民基礎調査による貧困ライン(122万円)を消費者物価指数で補正した127万円を基準に「困窮世帯」「非困窮世帯」を区分した。15年度に算出された「子どもの貧困率」(29・9%)は市町村が持つデータから算出している。