コールセンターで活躍するバスガイドの女性たち=那覇市
第一交通産業グループの那覇バス、琉球バス交通は団体用の観光バス需要が減る夏季対策として、業種を超えた閑散・繁忙期の人材マッチングをコールセンターとの間で実施している。コールセンター側では衣料や家電の通信販売・顧客対応で春から夏場にかけての繁忙期対応として、コミュニケーションスキルにたけたバスガイドの受け入れを拡大している。
観光バス業界では修学旅行が集中する秋はガイド不足に陥るが、航空運賃が上がる夏場は団体旅行が減り、個人旅行のレンタカー移動が中心になる。沖縄観光全体では7〜9月にピークを迎えるものの、団体用のバス稼働率は3割程度落ち込むという。
さらに近年の観光バス事業は新規参入が相次いで競争が激化し、那覇バス・琉球バス交通の大城逸雄常務は「秋に偏って人が必要になるが、閑散期の受け皿対策がないとガイドも増やしきれない」と語る。
同社は涼しい夏場が繁忙期となる北海道のバス会社との南北交流で、2008年から利尻島と礼文島にバスガイドを派遣してきた。ただ、家庭との兼ね合いなどで県外勤務が難しい社員も多く、県内のレンタカー会社やホテルにも業務請負の対象を広げてきた。
コールセンターのりらいあコミュニケーションズ沖縄支社(那覇市)では昨年、夏季にバスガイド6人が勤務した。今年は説明会の開催も早め、希望者全員の21人に受け入れを増やした。人事対応を進めた前支社長の堀田弘正さん(現北海道支社長)は「バスガイドは乗客対応にも慣れ、プロフェッショナルな意識が高くて助かる」と語る。
ガイドの仕事のない日に週3日程度でコールセンター勤務に入る仲嶺秀美さんは「顔の見えないさまざまな顧客の問い合わせに対応するなど、ガイドとは違った大変さがある。社会勉強になっている」と語る。
バス会社とコールセンターをつないだ三井物産那覇支店の花牟礼真一支店長は「繁閑の差を各企業のマッチングで埋めるのは、好調な沖縄経済が直面する人手不足の一つの解決策になるのではないか」と述べた。