名護市安部への墜落後、夜間飛行を強行する米軍普天間飛行場所属MV22オスプレイ=2016年12月19日、宜野湾市
1日で、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが国内で初めて米軍普天間飛行場に配備されて5年となった。オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、構造的欠陥が指摘されてきた。全41市町村長はじめ県民の多くが配備に反対したにもかかわらず、政府は民意を無視し配備を強行した。事故率は普天間配備後も上がり続け、普天間配備の24機のうち2機は墜落事故を起こした。「安全性」が根底から揺らいでいる。
[事故率]24機のうち2機墜落 「バスタブ曲線」崩れる
米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備が公表された際、配備正当化に持ち出されたのは「バスタブ曲線」理論だった。
これは、一般に航空機の運用初期は事故率が高い傾向にあるが、時間の経過とともに低くなり、その後老朽化に伴い再び事故率が上がるというものだ。事故率のグラフがバスタブ(浴槽)型を描くことが由来だ。日米両政府は配備前、オスプレイは運用の初期段階では事故率が高かったものの、現在は安定した水準にあるとの見解を示していた。だが実際はオスプレイのクラスA事故率(最重要事故率)は普天間配備時よりも大きく上昇した。
今年9月の米海兵隊回答によると、米2012〜16会計年度(11年10月〜16年9月)のオスプレイのクラスA事故率は、10万飛行時間当たり3・41となっている。オスプレイのクラスA事故率は、普天間に配備当初に公表された1・93から、「バスタブ曲線理論」に反して上昇している。さらに12〜16会計年度の平均クラスA事故率には、昨年12月に名護市安部で、また今年8月にオーストラリアで、さらに9月29日に中東シリアでそれぞれ起きた墜落事故は、算入対象となっていない。この3件を踏まえて最新の5カ年平均値を出した場合、クラスA事故率はさらに上がるのは確実だ。
米海兵隊の今年3月の回答によると、12〜16会計年度の5年間の米海兵隊航空機全体のクラスA事故率は2・83件で、オスプレイの12〜16会計年度平均はこれを0・58上回っている。
また米04〜16会計年度までの平均だと2・62で、海兵隊が使用するMV22B型のオスプレイの総飛行時間は30万3207時間(17年8月31日時点)となっている。
米海兵隊はクラスA事故率の指標について、直近の5会計年度の平均が「事故の発生頻度を判定するのにふさわしい値」だとしている。