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卵から育て上げたウズラの「ウズピー」を抱く仲宗根いっしん君。ウズピーは気持ちよさそうに目を閉じた=14日、宜野湾市の自宅

 

沖縄県宜野湾市の仲宗根いっしん君(10)=はごろも小5年=は昨年6月、スーパーで買ったウズラの卵19個を温めて5羽のふ化に成功した。母の絵理さん(38)いわく「ダメもと」の挑戦は予想をうれしく裏切って、1羽は今も元気な鳴き声を上げる。

 

仲宗根君は2匹ずつのリクガメとイグアナを世話する動物好き。中でも卵や子どもを成長させるのが大好きだ。「とてもかわいかった」という今回のウズラは、育つ過程を丁寧に写真に収めて縦1メートルほどのポスターにまとめた。ポスターは校内で金賞を受賞した。

 

ふ化させた当時、仲宗根君は学校に通えていなかった。ウズラを育て上げたことで自信を深めて大きく成長したという。「また育てたい」とせがむ仲宗根君に「もう飼う場所がないよ」と苦笑いする絵理さんは「親が子どもを信じて興味のあることをやらせ、力を伸ばしてあげたい」とほほ笑んだ。

 

宜野湾市の仲宗根いっしん君(10)家族が住むアパートの室内には、仲宗根君が世話をするリクガメなどの水槽がずらりと並ぶ。昨年「鳥を飼いたい」と心を決めて育て方を調べ上げ、「動物はこれ以上増やさない」という母の絵理さん(38)を説得した。5月28日、お小遣いを手に近所のスーパーでウズラの卵2パックを買ってきた。

 

ひび割れていた1個を除く19個を、綿を敷き詰めた飼育ケースに入れ、カメ用の保温球を使って温度や湿度を管理した。朝は起きると一番に卵を確認し、姉のここなさん(14)と3〜4時間ごとに卵を回転させて世話をした。学校に行けなかった日は、日中も世話を欠かさなかった。

 

温め始めて8日目。卵を光に透かして見ると、8個に血管が育っているのが確認できた。仲宗根君は「すごい」と心を躍らせ「8羽全部かえってほしいな」と丁寧に写真に記録した。

 

販売される卵の多くはひなにならない無精卵だ。絵理さんは「ウズラは雌雄を見分けにくく、ニワトリよりは有精卵が混じりやすいらしい。でも8羽も育つと思わず、感動しながらどうしようと思った」と笑う。

 

数日おきに光に透かして成長を観察していたが、13日目くらいからは動かさない方がいいと聞いてじっと我慢。殻の中から小さな鳴き声が聞こえ始め、16日目についに11羽目がふ化。3日間で5羽が誕生した。

 

ひなはふ化直後から歩き始め、餌も自分で食べること、うつぶせに倒れて足を投げ出し「死んだような姿」(絵理さん)で寝ること、ひなは羽の模様に個体差があるが成長すると見分けが付かなくなること―。飼育する中での発見は多く、家族の会話も盛り上がったという。

 

仲宗根君は現在、学校とは別の場所にある市教委の適応指導教室に通っている。絵理さんは「不登校を悩んだ時期もあったが、本人も行きたくても行けないのだから仕方がない。焦らず子どもとの信頼関係を大切にして、子どもがやりたいことに協力していきたい」と笑顔を見せた。(黒田華)