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脳脊髄液減少症で闘病中のChiccaさん。内部障害や難病など外見からは障害があると分かりづらい人のために作られた「ヘルプマーク」をかばんにつけている=2017年12月、北中城村

 

脳と脊髄を覆う硬膜に穴が開き、髄液が漏れ出すことで激しい頭痛やめまい、倦怠(けんたい)感を引き起こす「脳脊髄液減少症」。2016年4月からは有効な治療法とされる「ブラッドパッチ療法」に公的医療保険が適用された。それでもまだ認知度は低く、診察で見逃されたり、周囲の無理解に患者が精神的な苦痛を抱えたりする場合もある。(大城周子)

 

脳脊髄液減少症は交通事故や転倒、スポーツ外傷などがきっかけになることが多く、原因が不明なケースもある。起き上がると頭が痛み、横になると治まる「起立性頭痛」が典型的な症状とされるが、症状はさまざまで、うつ病や心因性と間違われることも。「ブラッドパッチ」(硬膜外自家血注入療法)は画像診断を基に髄液の漏出部分を確認し、患者自身の血液を注入して穴をふさぐ。効果的とされる一方、複数回必要な場合や治療後にめまいや痛みが出るリスクもある。

 

うるま市出身で現在は東京に暮らす30代のChicca(チッカ)さん=本名・松田千香=は脳脊髄液減少症と闘う一人だ。介護福祉士として働いていた3年前のある日、訪問先で突然目の前が真っ白になった。その場は何とかしのいだが、事務所に戻って横になるとそのまま起き上がれなくなり救急搬送された。

 

当初の検査で異常は見つからなかった。複数の診療科や病院をたらい回しされ、「精神的なものではないか」と心療内科まで紹介された。日常生活もままならずChiccaさんは「途方に暮れた」というが、友人らの協力もあって専門医にたどり着き、脳脊髄液減少症と診断を受けた。明確な原因は分からないが、中学時代にいたずらで椅子を押された際に尻もちをついて一時歩けなくなったことがあり、その頃からずっと肩や首のこり、頭痛、背中の痛みに悩まされていたという。

 

これまで自宅療養を挟んで3回のブラッドパッチを受けた。体に負荷がかかる介護福祉士の仕事は辞め、ユーズドショップ店員や医局秘書の仕事をしながら闘病を続けてきた。軌道に乗りかけていた民謡アーティストの活動も控えざるを得なくなった。頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り。「例えばベッドで寝ているとき、ベッドに体を引っ張られているような」倦怠感。一時的に症状が和らぐことはあるが「『今日は気分がすっきりしているな』という日はない」と語る。

 

病気の周知と情報交換を目的にChiccaさんは昨年、ツイッターのアカウントを開設した。自身が病気についてインターネットで検索した際、ネガティブな書き込みの多さが気になっていたという。周囲に伝わりにくい悩みや細かな症状、そして「前向きに今を生きる」大切さを共有したいと思っている。

 

病状は一進一退を繰り返すが、Chiccaさんが悲観的にはならないのは「仲間に恵まれているから」。女優の比嘉愛未さんは同じ高校の二つ下で、沖縄でモデルを始めた10代の頃からの付き合い。互いに「心友」と呼び合い、撮影の合間など時間を見つけては一緒に過ごす仲だ。比嘉さんをはじめ、多くの友人に支えられているChiccaさん。体調をみながら、モデルや歌手活動も少しずつしていきたいと語る。自分と同じように病気と闘う人たちへ伝えたい思いがある。「皆1人じゃない。仲間がいるから日々頑張れる。病に向き合う勇気で皆笑顔に」

 


 

ブラッドパッチ療法実施機関 ブラッドパッチ療法を実施している県内の主な医療機関は、琉球大学医学部付属病院(西原町上原)(電話)098(895)3331 牧港クリニック(浦添市牧港)(電話)098(871)1500など。