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延焼を食い止めたクルチ。葉の半分ほどは焦げたままだ=津嘉山酒造所

 

【名護】沖縄県名護市の国指定重要文化財「津嘉山酒造所」に隣接する平屋が昨年11月5日に火事で全焼した。名護消防の消火活動で津嘉山酒造所への延焼は阻止されたが、その際、別の“消防”も活躍していた。それは火事現場に近い場所に生えていた樹齢100年のクルチ(リュウキュウコクタン)だ。市民の間で「文化財を火事から守ったクルチ」と話題になっている。

 

名護市文化財保存調査委員会委員長の岸本林さんによると、クルチは「酒造所が新築された1928(昭和3)年には成木が植えられたといわれるから、樹齢100年に近いでしょう」と話す。

 

火事によりクルチの東側は激しい火にあおられて焦げている。しかし燃え尽きることなく、延焼を防ぎ、防火の役割を果たした格好だ。

 

2月に行われた津嘉山酒屋保存の会の懇親会の席で話題になり、「延焼を必死で防いだ消防の活躍に感謝状を贈ったらどうか」「クルチを植栽した創始者の英知に改めて感心させられた」などの声が寄せられた。

 

文化財を延焼から阻止したクルチについて、市民の間では「昔の人は防風、防火のために屋敷の周囲にフクギなどを植えたが、実際に防火に役立つことがよく分かった」という声が上がっている。

(幸地光男通信員)