image

羽地内海を手漕ぎで漕ぎだす島袋貞弘さん=3月、今帰仁村湧川区

 

【今帰仁】沖縄県内で珍しい伝馬船(手漕(こ)ぎ和船)を、地元今帰仁村の海に浮かべ大海原を楽しんでいるのは、村上運天出身の島袋貞弘さん(66)だ。静かな羽地内海に、手漕ぎ独特の「ギーコ、ギーコ」という落ち着くリズムでゆっくりと漕ぎ出す。絶壁から垂れ下がる大きな松の枝の木陰で休息したり、海岸の景色を海から眺めたりと「ぜいたくで最高のひととき」を過ごしている。

 

島袋さんは、地元の高校を卒業し本土で4年ほど働いた後、沖縄に戻り那覇市で就職。2005年に退職し、現在は両親の世話のために今帰仁村と那覇市を行き来しながら、民泊や、今帰仁グスクを学ぶ会で今帰仁城跡のボランティアガイドなどを行っている。

 

島袋さんが伝馬船と出会ったのは20代のころ。長崎県佐世保市で初めて乗船し、その魅力に引かれ、将来は自分の伝馬船が欲しいと夢見ていたという。退職したその年、自分で製作することも考えたが、うるま市にある越来造船で製作しているとの話を聞き何度も足を運び製作を依頼した。島袋さんの熱い思いが伝わり、念願だった伝馬船の所有が実現した。

 

島袋さんは「昔は今帰仁から屋我地島などへの渡し船としても活躍していた。伝馬船に思い出があるお年寄りや、興味のある方にもぜひ見て、乗ってほしい」と笑顔で話し、今日も羽地内海へ伝馬船を漕ぎだしていった。(新城孝博通信員)